最愛を亡くした男は今度こそその手を離さない

竜鳴躍

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母親

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加々美ルウは魔族の公爵令嬢であり聖女である。

魔族でありながら全く魔力がなく、それが聖女だったからだと気づいたのは、両方の世界を揺るがすことになった事件に兄と巻き込まれたからだった。

命が短いことも、将軍だったことも何も知らなかった兄は、自分にとっては厳しくて優しい、両親以上に親のような存在だった。

華やかで美しい兄と比べ、地黒で眉毛もはっきりした少年のような自分は、魔力がないこともあって、他の令嬢からは嘲笑の対象だったけど、兄は私がきれいだと。きれいの種類が違うだけだと言い続けた。

私はエキゾチックなクールビューティ系だったらしい。

留学した人間界で出会った旦那様と幸せになり、竜が産まれた。

早逝した兄にどこか面持ちの似た我が子が嬉しくて、兄の名をつけた。



パン!

洗濯物を干しながら、私は、何ともいえない気持ちになる。


人間として産まれたはずの竜が氷魔になった。


似てるなんてものじゃない、
まさにそのものの姿。


あれは、兄だ。


でも違う。

私たちの竜だ。

別人だ。



幸い、人間として産まれた竜は、体が出来て魔族化した恩恵もあり、人間の寿命程度には生きられるらしい。


ならば何も不安はないはずなのに。

竜とアルファさんの様子が釈然としない。



今までアルファさんは、兄の甥だから可愛がってくれていると思ってた。


でも、竜を見るあの目………。


竜は兄さんじゃないのよ。

代わりじゃない。



私、どうしたらいいの?


兄の親友のアルファさんを拒絶できない。

竜、あの子もどう思っているの…………。
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<関連作>①https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/745514318②https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/186571339第1話がダイジェストなので、よろしかったらご覧になっていただけると嬉しいです。
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