最愛を亡くした男は今度こそその手を離さない

竜鳴躍

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羽化

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蛹から蝶になるように。


前世の記憶に引っ張られるように。


体の隅々まで、なにか底から湧き上がってくるものが血液のように行き渡る。



「ん………。」



気が付くと俺はアルファさんの腕の中にいて、皆が涙笑いをしていた。


「ハッピーバースデー、竜。」



腕をあげると、肌の色が違う。


日に焼けた肌は、雪のようにきめ細かく、真っ白だ。

「鏡、見せて?」


はっと息をのんだ。

俺は父親似の黒髪黒眼だったはずだ。
なのに、銀髪にアイスブルーの瞳………。


それに、この魔力。

前世と同じくらい、ある。


「ああ、竜。体はなんともない?」

「どこか、変なところはないか?」

魔族化に伴って、冷気に包まれたため、炎の魔族のアルファさんが抱きしめて暖めてくれていたらしい。


たぶん、両親や祖父母は不安なのだ。
氷魔は長く生きられない。

リュウは、あんな体だったから。




「うん、何ともないよ。体を鍛えていたから、この体は強い魔力でも耐えられるのかも。」



今度は皆を置いていかないから。



「さあ、パーティーにしようよ。」




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<関連作>①https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/745514318②https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/186571339第1話がダイジェストなので、よろしかったらご覧になっていただけると嬉しいです。
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