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種明かし

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男の姿で公爵家に向かった私は、公爵に婚約の話を取り付けると同時に、『息子と偽って育てたのは、王女として生きているビクトールの伴侶にするため』ということにしてはどうか、と提案した。

王族のために嘘をつくのなら、罪にはならない。


そして、次期後継はサディが手を挙げてくれた。

サディが結婚して生まれた子と、私たちの子を婚約させたら、その次は孫が爵位を継いでいく。


私が王位を継いだら、早いうちに女性でも爵位を継げるように法律を改めることも約束した。




陛下や王妃は簡単だった。

彼らは私に負い目を感じていた。

信じてはいなかったが、彼らなりに幼い私を配慮してくれていた。

『お婿さんはどうする?王妃になってもいいし、帝国にお嫁に行ってもいいのよ?幸せになれる結婚をしてほしいの。私は貴方のお母さんの分も、貴方を幸せにしたいの。する義務があるのよ。』

犯人がリリーの父親で元野盗のトリカブトだと分かり、ほっとした。


自分の侍従に命じて調べてもらったところ、精神に作用する薬の成分が彼らから検出された。

トリカブトの都合がよいように、操られていたのだろう。


自分の親とクズデンに愛想をつかしたリリーからの情報も有用だった。

薬が抜けた彼らは、息子を切り捨てる決断をした。
ただし、操られていたせいもあり教育を失敗したこともあり、幽閉にとどめたいらしかった。

トリカブトは娘であるリリーにも薬を盛っていた。

命令を聞かないと、無理やり注射されていたらしい。


阿保で淫乱なリリーは作られた姿だった。




王家の罪は明らかにできない。穏便に済ませる条件で、口裏を合わせてもらった。

城に入り込んでいた野盗の手の者は全て私の部下が押さえて地下牢に叩き込んだ。



この国の膿は、これから調査を重ねて排除していくつもりだ。
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