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美しい公爵令嬢

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「監視付きだが、最後のパーティだ。楽しむといい。踊ってくれるパートナーはいないだろうが。」

「く………!」



ガッとワインの瓶をとり、それを持ってクズデンが襲い掛かる。


「きゃあああああああああああ!」

サッとエクスが前に出て、ワイン瓶を落とし、それを守る様に今度はビクトールがエクスを背にして、二人でクズデンを縛り上げた。



「ぎゃあああああああ、おれる、おれるぅうう!」

「お前は死罪になりたいのか?!」


ついに、最後のパーティなのにクズデンは椅子に縛り上げられてしまった。




「ワインがついてしまったね、エクス。もうあんな無茶はできればやめてほしいけど、止められないだろうから予防策を頑張るよ。」

「何を言っているのです。いざというとき最後に陛下を守るのが王妃ですよ。私も覚悟を決めているのです。」

「じゃあ、君が王妃らしい振る舞いもできることをアピールしないとね。着替えてこよう。」

ビクトールとエクスは会場を後にする。


そして現れた姿に、会場はハッとなった。


プラチナブロンドは短いけれど、その分リボンや花で彩られた優雅な帽子。
素顔でも十分美人だった顔は、薄化粧で清楚可憐に。

ボリュームのあるドレスはふわふわと揺れ、妖精か女神のように美しい。



「知ってる?ショートカットでも美人な人は本当に美人なんだよ?」

「本当にもう、恥ずかしいです。」


麗しい王子と美しい姫のダンス。


それを見て、クズデンはまた歯ぎしりをした。





なんだあれ!

見たことのないような美人じゃないか!

狡い!

どうして女だって言ってくれなかったんだ!

女だってわかってたら自分のものにしたのに!





今となっては、王位も女も、彼にはなにもない。


何もしなければ、自分の両親のように穏便に見逃してもらえた。

何もしなければ、どこか領地をもらって高位貴族で王族として豊かな暮らしができたのに。


彼は自分の行いで、全てを失った。
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