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さあ、私のステージの始まりです

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「お姉さま~。じゃなかった。」

うふふと笑いながら顔を出すのは、クズデンの3歳年下の弟。

父親似の黒髪に黒い瞳の王子様はまだ15歳のデビュタントを終えたばかりの少年で、腹に一物抱えた傑物だ。

サディ=スティック=エディオン。


彼は、天使のようなあどけない顔をしながら、ビクトリアの部屋を開けた。


中に入り、さっと戸を閉める。



「わぁお。ビクトールさま。いよいよなんだね。」



部屋の中のビクトリアは、ドレス姿ではない。


長い髪を切り、整えて、紫をイメージカラーにしたコートに白いシャツとトラウザーズを身に着け、どこから見ても王子殿下だった。



「意外と時間かけたね。」

「時間が立ちすぎて犯人のめぼしもなかったからな。初めは陛下たちを疑っていたというのもある。全く遠回りだったよ。まさか、クズデンにまとわりついている調。」


「それで。玉座を取り戻すんでしょ?僕、ビクトールさまにお仕えするよ。」


小さい頃から何かにびくびく怯え、育児放棄されていた僕。

お兄様は横暴で、いつも僕に仕事や宿題を押し付けて…。僕が大事にしていた顕微鏡や望遠鏡は奪って壊すし、模型もすぐ壊しちゃうし、僕はいつでも我慢ばっかり。

馬鹿のくせに長男だから自分が王になるのだと豪語し、僕のことを地味な不細工だと虐げた。

デザートのケーキの苺は盗られるし!

僕の大事な側近をこき使って苛めて辞めさせたり、好きな女の子は手を付けられ、飽きたらぽいと捨てられる。



もう僕、堪忍袋の緒が切れました!



「あんなの、僕のお兄様じゃない。ビクトールさまの方がずっとお兄様だった。お兄様が投げた王太子のお仕事、僕にはまだ難しくて、ビクトールさまがやってくださって嬉しかった!誕生日プレゼントにクマのぬいぐるみもくださったし、だから、僕に出来ることがあったら何でも言ってください!」


「ふふ。サディは本当にいい子だね。実はね、今からお嫁さんに下さいってお願いに行くんだ。好きな人も玉座もまとめて私はいただくよ?」


「うわぁ!僕、応援するね!」




ビクトリアの部屋の扉が開き、帝国出身の侍女や侍従、護衛騎士たちが後ろに続く。

先ぶれを出した陛下の下へ。

堂々と歩くビクトールの隣に誇らしげに歩く、参謀役のサディ王子。





「わ、え、な、はぁああああああああああああ!!?」


クズデンは王子にあるまじきリアクションで、壁に背をつけた。

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