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いけ好かない従姉と元侍従

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いけ好かない従姉と侍従。

女の癖に博識で、皆に慕われる従姉が大嫌いだった。

学園でも、憧憬の眼差しはあの女のもの。
勉強では私がどんなに頑張っても50番台にはいるのがやっとなのに、あの女は涼しい顔で一位をキープする。

外交のためのパーティーに出れば、異国の言葉でもてなしているのはあの女。



『ビクトリア王女が王子なら。』



皆がそう言っているのを知っている!


父も母もどうして先王の娘なんて育てたんだ?
母親は帝国の姫だったはずだ!

帝国に引き取らせればよかったのだ。


……………自分もあの女も婚約者はいない。



両親は帝国の後ろ盾欲しさに育てたのだろう。

王太子になる王子の妃にするために。

答えはすぐに出た。


冗談じゃない!あんな女!
美人だとは思うが、あんな冷たい目をする生意気な女なんてごめんだ!


エクスの存在も憎々しい。

あいつもあの女と同じだ。
涼しい顔でいつも上位5位以内にいて。

私が詰まったら、さっとさり気なく傍に着て、私に教える。

屈辱だ!


見た目も気に食わない。

女のように綺麗な顔。


月の光のようにほのかな色合いのプラチナブロンドにアメジストの瞳。

肌の色は白く細やかで、睫毛が長く縁取る。


正直女なら好みの顔だ。

女みたいに着飾らせて化粧を施したらどれ程の美女になるだろう。

だが、こいつは男だ。

女どもは私ではなくエクスに見とれるのだ。
忌々しい!

紳士的なのも気に食わない!

なぜそんなにエレガントにソフトに女性と接することができるんだ!
そこに下心など微塵も感じない。

違うだろ!

紳士の仮面で誤魔化しても、下半身はおったててるのが男だろ!


悔しい悔しい、悔しい!!!
なんで王子の私が引き立て役にならねばならないんだ!




あいつは剣はそれほどではない。
ビクトリアもダンスすらしないくらいだ。

皆の前で地べたに這いつくばらせてくれるわ!



可愛い可愛い我が天使スイートハニーのリリーたんに良いとこを見せるのは私だぁ!



側近のビリーと打ち合わせて、恥をかかせる算段を立てた。





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