ヤンデレ王子は姫騎士を包囲する

竜鳴躍

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閑話 「神速」クリス=アッシュフォード

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私は騎士団長のリチャード=ローズ=ビクトリア伯爵だ。

この国には、剣の腕で二つ名がついている者が何人かいる。
私の娘も、いずれはそうなるだろうが、今のところ二つ名があるのは、私を含めて3人になる。

まずは、私。

剣の一撃が重く、破壊力があることから『剛剣』と呼ばれている。

二人目はマクシミリアン陛下だ。
細身の陛下の剣筋は、水の流れのように美しく、『流麗』と呼ばれる。


三人目が、デイヴィット王太子につけたクリス=アッシュフォードだ。

男爵家の次男で、貴族としては殆ど平民だが、学園での勉学の成績はああ見えてすべて上位だったし、
武術の成績でも、彼の時代には彼に並ぶものはいなかった。

本人は自分への評価に気づいていないが、容姿だって優れている。

艶やかな黒髪に整った顔立ち。菫色に近い青い瞳に長い睫毛。
若く見えるのは、鼻筋がそこまで高いわけでなく、骨格もガッシリといったところではなくて、
前髪もおろしているせいだろう。(セットがめんどくさいらしい)

彼を養子にしたいという上位貴族も結構いたようだが、長男に何かあった時のスペアとして残しておきたい両親がすべて断っていたようだ。

家格さえ揃っていれば、彼は楽に何にでもなれただろうし、婚約者も引く手あまただったろうに。


そうそう、彼の二つ名は『神速』だ。


動きが俊敏で、動体視力がものすごくいい。そして、片手剣を2本使う、二刀流の達人だ。

クリスが神速の剣なら、王太子は神速の拳。

つまり、神速には神速をつけないと、釣り合わないという話だ。
あの王太子の本気についていけるのは、私以外ではクリスくらいだろう。
他のやつらでは、王太子の残像さえ残像と認識できないはず。


実力のみで20代そこそこの若さで騎士団の部隊長を務める男。


あいつなら、王太子の無茶ぶりにもこたえられるだろうし、大丈夫だろう。
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