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ほわっ?ほわほわ
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教室の静寂を破る、パアンという音。
王太子はその音ですべてを察し、隣の席の幼馴染のアンジュに自分の上着をかぶせた。
一瞬で。
彼女の斜め前方1m25cmには、制服のボタンが、1個転がっている。
クラスメイトと教師はすべてを察し、目を合わせないようにした。
そう、王太子と。
王太子が、王太子の後ろにいる世話係に、何やら耳打ちしている。
休み時間。
王太子は、幼馴染に声をかけた。
「化粧室へ行って、制服の上着を脱いできてください。早く。」
戸惑いながらも、素直に従い、脱いでくると、王太子はソーイングセットをそっと取り出し、ボタンを取り付け始める。
「ありがとう…。最近、筋肉が増えたのか胸筋増えちゃって。危ないかなぁと思ってはいたんだけど。第二ボタンのあたりが引きつって、かぱかぱしてたし。」
「気にしてください。気を付けてください。服の隙間から見えてるんですよ?ボタンはしっかり縫い付けますから、帰りまではもつでしょうけど。明日からは1サイズ大きいの着てください。手配はしときましたので、放課後にはクリスが持ってきてくれるでしょう。」
僕のアンジュの胸を誰かに見られるなんてとんでもない。
「ありがとう。…でも、ディヴィッド様は私より女子力高いので…ちょっと複雑な気分です。」
「お茶も刺繍も、女がやるものだと誰が決めたんですか。得意なことを得意な方がやればいいんですよ。アンジュは剣がすごいじゃないですか。将来の騎士団長と評判ですよ。」
ぷちっと糸を切りながら言うと、アンジュはテレテレしていた。
アンジュは、上着を受け取って。
「私、本当はこの制服きらいだわ。だって、すぐ上着がきつくなるんだもの。胸が大きいと、どうしても胸のところの生地が浮いて、開いちゃうんですもの。」
その言葉で、王太子の表情が固まる。
「決めました。明日ーーーは間に合わないか。明々後日から女子の制服を変えましょう。」
「えっ。」
「大丈夫、急なことですから全員に僕から新しい制服を送りますから。」
「で、でもっ。」
「いいですか?アンジュ。よく聞いて、理解してくださいね。世界で一番大切に思っていて、独り占めしたいくらい愛している貴女の胸が誰かにいやらしい目で見られるなんて、僕は耐えられないんです。そのためには、そのくらいなんてことはないんですよ。」
「ふえっ?」
「いうことをきいてくれないんなら、こんな無自覚にエッチな子は、閉じ込めてしまうかも?」
これでもかなり、我慢しているんですけど?
そういって、色気たっぷりにほほ笑んで、アンジュの手の甲に口づけを落とすと。
見上げたアンジュの顔は、さすがに理解できたのか、ゆでだこのように真っ赤になっていた。
王太子はその音ですべてを察し、隣の席の幼馴染のアンジュに自分の上着をかぶせた。
一瞬で。
彼女の斜め前方1m25cmには、制服のボタンが、1個転がっている。
クラスメイトと教師はすべてを察し、目を合わせないようにした。
そう、王太子と。
王太子が、王太子の後ろにいる世話係に、何やら耳打ちしている。
休み時間。
王太子は、幼馴染に声をかけた。
「化粧室へ行って、制服の上着を脱いできてください。早く。」
戸惑いながらも、素直に従い、脱いでくると、王太子はソーイングセットをそっと取り出し、ボタンを取り付け始める。
「ありがとう…。最近、筋肉が増えたのか胸筋増えちゃって。危ないかなぁと思ってはいたんだけど。第二ボタンのあたりが引きつって、かぱかぱしてたし。」
「気にしてください。気を付けてください。服の隙間から見えてるんですよ?ボタンはしっかり縫い付けますから、帰りまではもつでしょうけど。明日からは1サイズ大きいの着てください。手配はしときましたので、放課後にはクリスが持ってきてくれるでしょう。」
僕のアンジュの胸を誰かに見られるなんてとんでもない。
「ありがとう。…でも、ディヴィッド様は私より女子力高いので…ちょっと複雑な気分です。」
「お茶も刺繍も、女がやるものだと誰が決めたんですか。得意なことを得意な方がやればいいんですよ。アンジュは剣がすごいじゃないですか。将来の騎士団長と評判ですよ。」
ぷちっと糸を切りながら言うと、アンジュはテレテレしていた。
アンジュは、上着を受け取って。
「私、本当はこの制服きらいだわ。だって、すぐ上着がきつくなるんだもの。胸が大きいと、どうしても胸のところの生地が浮いて、開いちゃうんですもの。」
その言葉で、王太子の表情が固まる。
「決めました。明日ーーーは間に合わないか。明々後日から女子の制服を変えましょう。」
「えっ。」
「大丈夫、急なことですから全員に僕から新しい制服を送りますから。」
「で、でもっ。」
「いいですか?アンジュ。よく聞いて、理解してくださいね。世界で一番大切に思っていて、独り占めしたいくらい愛している貴女の胸が誰かにいやらしい目で見られるなんて、僕は耐えられないんです。そのためには、そのくらいなんてことはないんですよ。」
「ふえっ?」
「いうことをきいてくれないんなら、こんな無自覚にエッチな子は、閉じ込めてしまうかも?」
これでもかなり、我慢しているんですけど?
そういって、色気たっぷりにほほ笑んで、アンジュの手の甲に口づけを落とすと。
見上げたアンジュの顔は、さすがに理解できたのか、ゆでだこのように真っ赤になっていた。
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