ヤンデレ王子は姫騎士を包囲する

竜鳴躍

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おはようございます、護衛兼世話係のクリスです。

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おはようございます、僕は王太子の護衛兼世話係のクリス=アッシュフォードです。

男爵家の次男坊ですが、登用試験を受けて合格したので、宮仕えさせていただいております。

騎士団の部隊長をこう見えてもさせていただいておりますが、年が若いのと、見た目が若く見られる、いわゆる童顔で、学園にいても浮かないだろうと、この度王太子の学園でのお世話役を拝命いたしました。

護衛?


王太子に護衛なんて本当は要らないんですよ。

王太子はいざという時の護身術だけで、武術はあまり得意じゃないということになっておりますが、その護身術が半端ないので。

なんで、拳の一撃で建物の端から端までぶっ飛ばせるんですか。
なんで、武器持った相手の懐に潜り込んで、アッパーかませるんですか。
なんで、そんな足が上に上がるんですか。
なんで、拳の連打が見えないんですか。
なんで、本気で動くと残像が見えるんですか。
あんたはどっかの戦闘民族ですかぁあああああああああああ!?


王子に聞いたことがあります。

「なんで王子は素手の戦闘術を?」

「それは、イザという時は武器に頼れないことも多いからだけど、武器なしだと相手も油断してくれるじゃない?陛下が女装して城下を調査しに行くのと一緒だよ。僕は女装はしないからね、かよわい王太子ってことにしといてよ。」


まあ、まともな回答ですよね。
でも、これ、表向きの回答ですよね。


おっと、そんなことを考えていたら、ビクトリア伯爵邸に到着しました。

真っ先に下りて、王太子殿下をエスコートします。


「ディヴィッド様、ごきげんよう!」


馬車がついた先には、かわいらしい女性が待っていました。

殿下の想い人であり、騎士団長の娘さんである、アンジュ様。

娘にアンジュ=天使って名づけるあたり、あの騎士団長も十分アタマ沸いてると思っています。


「アンジュ、今日も素敵だね!」

アンジュ様にニコニコとほほ笑む王太子。

「今日から学園ね。どきどきしちゃうわ。でも、本当に登校ご一緒してよろしかったの?」

なんなら私、トレーニングをかねて走っていってもいいくらいなのですが。と
目の前の可憐そうな女性がとんでもないことを言っている。


騎士団長の娘さんは、子どもの頃から騎士を目指していて、剣の腕だけなら、今すぐにでも入団できるレベルにある。
娘が仕事で怪我するのが嫌だからと、父親が鍛えに鍛えた結果。

その副効果で、母親と陛下によく似たその美貌は、戦う者のしなやかな筋肉に彩られ、とても美しい。

「いいんだよ、だって僕は弱いからね。君が一緒なら心強いもの。」

「んも~~~~。しょうがないわねぇ~~~。」

王太子のエスコートで、アンジュ様が馬車に乗り込む。




あーーーーーーー



もーーーーーーーー


アンジュ様、隣でニコニコしてらっしゃいますけどね、貴方のその幼馴染はとんでもないですからね。
頭の中ではあなたを幽閉して言葉に出せないことをやらかしてるような男なんですからね?

脳筋馬鹿に近い純粋なこの美少女に、幸あらんことを祈るばかり。
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