【完結】美貌のオメガは正体を隠す

竜鳴躍

文字の大きさ
上 下
68 / 82
番外編など

CM撮影におじゃま

しおりを挟む
「わぁぁぁ。どきどきするぅ。」


今日、京君は都内の水族館でCMの撮影だ。

ずっと気になってた水族館だったから、連れてきてもらっちゃった!

ここの水族館は変わっていて、メリーゴーランドや海賊船はあるし、デジタルアートと一緒に魚を鑑賞できるのだ!



「開館前の水族館♡ 貸し切り同然なんて、夢じゃないかしら。」



「ふふふ、よかったね。じゃあ、僕撮影してくるから、魚を見てて。」





「大変だ!相手役の鹿島君が!!」


チンピラに絡まれてけがをしたって。
君の友人の一君とかいう子が助けて、病院に連れてったらしい。


「上津野君なら安心だ。…だけど。」

「今回のCMは男オメガとアルファカップルだったからなぁ。どこかに代わりの子がいれば………。」


スタッフの視線は、海に集中。



「ほへ?」






スタッフに頼み込まれて、衣装をつけ、メイクをした海はいつもにまして美しい。

「………へんじゃない?」

「きれいです。……とっても。」


へへ。京君にそう言ってもらえるなら、うれし。


「よーし、本番いきまーす!」



ブルーライトが魚を照らす。

巨大水槽の前で、俺たちは抱き合う。

『いつまでも一緒にいたい。君は俺の運命。』

『僕も、ずっと……。』

夢じゃないだろうか。

これは演技なのか。

俺を見上げる瞳が潤んで、頬が赤く染まる。





鼓動が高鳴る。

京君…。


京君がすき。

演技が終わらなければいいのに。











「チッ…!」

路地裏では、切れた口の中を忌々しそうに、鹿島葵と上津野一が歩いていた。

偶然。

海が撮影の邪魔になっていないか気になって、手土産の菓子を持って撮影場所に向かっていたら、鹿島葵とかいうアイドルがチンピラに襲われていた。

甘い、お菓子のようなにおい。

鹿島の顔は紅潮していて、オメガのヒートだと分かった。


遭遇してしまえば、放っておくわけにはいかない。

拳に力を入れて追っ払えば、この舌打ちである。



「あああ、もう、こんなんじゃ撮影いけねえ…。あー、抑制剤も全部あいつらがダメにしたか…。」


くるっと鹿島が振り返る。


「お前まあまあいい男だな。お前で我慢してやる。ホテル行こうぜ。」

「はぁ!?俺にも好みってもんがだな!」

「奇遇だな、俺にも好みがあるんだ。だが人助けと思って。」


鹿島はもう我慢できない。
耐えられない。


早く、早く男のアレがほしい。

奥までぶち抜いて、ナカを満たしてほしい。



ぐるぐるまわりを確認し、近場のラブホテルへ駆けこんだ。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

処理中です...