【完結】美貌のオメガは正体を隠す

竜鳴躍

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番えない番

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いつか、こんな日がくることを夢見ていた。

でも、夢見たものはこんなふうに切なくて苦しいことじゃなくて、甘くて、ふわふわした。


「………ん、はっ。んん…。」


ついばむようなキスではなくて、舌が絡まる。



「……もう、いき、できない。」

上目づかいで見上げると、拓海は悲しそうな顔をして、ぎゅっと抱きしめてくれた。






結婚式をあげてから、番いたいと。

初夜に体の関係を持ちたいと。

そう言っていた蜜瑠に、こんなことをさせている自分が嫌になる。


でも、最初で最後。


絶対に止まれない。



花梨と結婚して、子どもが産まれて、父親になったとしても、俺は花梨を愛せないだろう。

結婚したとしても、きっと花梨を抱くことはない。



唇を離してベッドに優しく寝かせると、頬を染めて潤んだ瞳で俺を見つめる。


言葉に出来ないけれど、本当に愛しているんだ。




スーツを脱がせると、きめの細かい肌があらわれる。

彼のすべてを記憶させるようにその肌にキスを落としていくと、ぴくっと悶えながら短く喘いだ。



「あっ、あぁ…っ。あ、はぁん。」

そこ、に指を這わせる。


蜜瑠は本当に綺麗だ。

粘液と彼の先走りが潤滑油になり、もう挿れられそうだ。



「………ん!」


指を中に入れる。

「息を吸ってはいて。大丈夫だから。」


オメガと言えど処女のそこは慎ましい。
オメガでない男と比べたら、すぐに解けるそこをかき混ぜた。

既にくったりしてるが、中にもう入りたい。


「蜜瑠。はいるよ?」


「うん…!きて…っ」

蜜瑠は俺の肩に手をまわして、必死に受け入れた。


「う、う、あうっ。あぁ――――――――」







やっと繋がれた。

愛しい人の顔を見上げる。

繋がったまま、彼の唇に軽いキスをした。


うれしい。


「も…っと。おくまできて。」


体の奥までこの人を覚えていたい。

忘れないように刻み付けてほしい。



「あ、あぁあ…っ。」

揺さぶられて、奥まで。おさまった。

「蜜瑠、みつる…っ。」

切なく甘く、自分を呼ぶ声。



結婚できないし、番えない。

だけれど、今だけは自分だけの男。


「は、あぁ。あっ。はあっ、はあ、はあっ。」


息が上がる。

体温があがる。


ほしい。



ほしい。




この人のすべてが欲しい。



自分が熱の塊になったみたい。


「みつる、みつる、」


「たくみ、たくみ!」


熱に浮かされたように。そしてその熱に伝染したように。


激しく求め合う。



体を反転させられて。




かぷっ。


ネックガードの上から噛まれた。


「――――――あぁ」


熱い楔で穿たれて、何度も揺さぶられて、何度も。



「イク、いくっ。」

俺のがはじけ飛んだ。

体を支えていた拓海の指に、俺のが流れる。



「ああ、かわいい。かわいいみつる。」


白いそれを指ですくって、拓海はなめた。


「ああん!」


「俺も……っ。うけとめて!」



「あぁっ……!」

背中をのけぞらせて、シーツを掴んで受け止める。



奥の奥まで。拓海のが腹の中に。



「あ、あぁ。なか…っ。たくみのっ。」


うれしい。





俺たちは、獣のように朝まで愛し合った。









「………それじゃ。」


「うん。」


最後に抱きしめられて、俺たちは別れた。









最中に、ヒートを起こしていたことを、俺は後で気づいた。

オメガが判明したときから、欠かさず薬を飲んでいたせいで、俺は自分の発情のリズムを分かっていなかった。



そして、初めての性交に、性交からくる熱なのか、ちがうのか。

理解する術をしらなかった。







なんでわかったか?







別れて暫くして、妊娠したことが分かったからだ。











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