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なんなんだあいつは
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北村が大学へ来ると、何もなかったように蜂谷は講義を受けていた。
「はち……。」
声をかけようとすると、ささーっと逃げる様に出ていく。
彼は毎度毎度どこへ行くのだろうか。
夕方はあのバイト先のクラブに行っていると思う。
俺は出禁になったから近づけないが。
「はぁ……。」
「もー、拓海ー!昨日は酷かったんだからね!」
ため息をつく俺に、花梨が近寄ってくる。
花梨は俺の幼馴染で、家が宛がった婚約者だ。正直……どうでもいい…。
オメガで可愛い方だとは思うが、俺だってオメガならだれでもいいわけじゃない。
アルファにだって好みというものがある。
アルファならどんなオメガでもオメガってだけで突っ込みたくなると思ったら大間違いだ。
なんかこう、ぐいぐい来るのが嫌だ。
「花梨、悪いんだけど。俺ほんとーに花梨のこと愛せないから、他で探してくれない?」
「なによもう、なによもう!いいもん、逃がした魚はおおきいんだからねぇっ!」
「はぁ……。」
去っていく花梨を見送りながら、ほっとした。
「見直したわ、北村。」
真面目にノートをとっていたショートカットの西野が珍しく話しかけてきた。
「あんたも低俗な男アルファだと思ってたけど。見直した。それで、何か悩み事なの?面白そうだから聞かせてよ。」
「君、意外と首突っ込むタイプ?」
「ふふ。実はね、私ってば漫画家なの。ネタになりそうだなァって。」
「いいよ、ネタにしてよ。実はさ、大学に入ってすぐから運命の番に出会ったんだけどさ。俺はすぐにわかったんだ。心地よいジャスミンの香りがして。でも、あっちは相当強い抑制剤飲んでるみたいで。」
「ふんふん。」
「匂い感じてないのかと思ったら、ちゃんと匂いは分かってたんだよ。それなのに、全然フェロモンに酔わないんだ!薬のせいだと思うけどさあ!でもさ、ちょっとくらい酔ってくれてもいいと思わない?花梨のせいで遊び人だと思われて第一印象最悪だし!一生番わない、薬が効かなくなったら、生殖機能を手術で捨てるって…!!!!」
折角見つけた運命の番にそんなこと言われたんだよおおおおおおおお!!!!!
「あらまあ。その人はよほどのトラウマ持ちか、よほどの精神力の持ち主ね。鋼のようだわ。諦めなさい。」
「わああん!」
「おーよちよち。かわいそうにねぇ。運命の番を見つけたのに振られちゃって。運命の人の存在を自覚していて他の人と番うなんてアルファにはできないわよねぇ。一生不憫な人生よねぇ。ところでもしかしてそれって蜂谷君のことかしら?」
「………。」
「そりゃあわかるわよ。漫画家だもの。人間観察してるもの?あなたの態度見てたら分かりますよ。……それならサービスで教えてあげる。蜂谷くんが講義の間にどこへ行っているのか。」
「………どこ?」
「40代前半独身の~。法学部准教授の紀里谷先生の学科室よ?司法試験目指している学生が集まっているお部屋。彼、今年の5月に司法試験の試験を受けて、自己採点の結果もいいし、感じでは合格しそうなのよ。だから、まだ3年生だけど卒業するために担当教官に相談してるの。卒業するのに必要な単位は殆ど採れていて、あとは必須科目くらいだから。」
「はち……。」
声をかけようとすると、ささーっと逃げる様に出ていく。
彼は毎度毎度どこへ行くのだろうか。
夕方はあのバイト先のクラブに行っていると思う。
俺は出禁になったから近づけないが。
「はぁ……。」
「もー、拓海ー!昨日は酷かったんだからね!」
ため息をつく俺に、花梨が近寄ってくる。
花梨は俺の幼馴染で、家が宛がった婚約者だ。正直……どうでもいい…。
オメガで可愛い方だとは思うが、俺だってオメガならだれでもいいわけじゃない。
アルファにだって好みというものがある。
アルファならどんなオメガでもオメガってだけで突っ込みたくなると思ったら大間違いだ。
なんかこう、ぐいぐい来るのが嫌だ。
「花梨、悪いんだけど。俺ほんとーに花梨のこと愛せないから、他で探してくれない?」
「なによもう、なによもう!いいもん、逃がした魚はおおきいんだからねぇっ!」
「はぁ……。」
去っていく花梨を見送りながら、ほっとした。
「見直したわ、北村。」
真面目にノートをとっていたショートカットの西野が珍しく話しかけてきた。
「あんたも低俗な男アルファだと思ってたけど。見直した。それで、何か悩み事なの?面白そうだから聞かせてよ。」
「君、意外と首突っ込むタイプ?」
「ふふ。実はね、私ってば漫画家なの。ネタになりそうだなァって。」
「いいよ、ネタにしてよ。実はさ、大学に入ってすぐから運命の番に出会ったんだけどさ。俺はすぐにわかったんだ。心地よいジャスミンの香りがして。でも、あっちは相当強い抑制剤飲んでるみたいで。」
「ふんふん。」
「匂い感じてないのかと思ったら、ちゃんと匂いは分かってたんだよ。それなのに、全然フェロモンに酔わないんだ!薬のせいだと思うけどさあ!でもさ、ちょっとくらい酔ってくれてもいいと思わない?花梨のせいで遊び人だと思われて第一印象最悪だし!一生番わない、薬が効かなくなったら、生殖機能を手術で捨てるって…!!!!」
折角見つけた運命の番にそんなこと言われたんだよおおおおおおおお!!!!!
「あらまあ。その人はよほどのトラウマ持ちか、よほどの精神力の持ち主ね。鋼のようだわ。諦めなさい。」
「わああん!」
「おーよちよち。かわいそうにねぇ。運命の番を見つけたのに振られちゃって。運命の人の存在を自覚していて他の人と番うなんてアルファにはできないわよねぇ。一生不憫な人生よねぇ。ところでもしかしてそれって蜂谷君のことかしら?」
「………。」
「そりゃあわかるわよ。漫画家だもの。人間観察してるもの?あなたの態度見てたら分かりますよ。……それならサービスで教えてあげる。蜂谷くんが講義の間にどこへ行っているのか。」
「………どこ?」
「40代前半独身の~。法学部准教授の紀里谷先生の学科室よ?司法試験目指している学生が集まっているお部屋。彼、今年の5月に司法試験の試験を受けて、自己採点の結果もいいし、感じでは合格しそうなのよ。だから、まだ3年生だけど卒業するために担当教官に相談してるの。卒業するのに必要な単位は殆ど採れていて、あとは必須科目くらいだから。」
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