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本編
継承と別離と集合と、盛大な仕返し
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「守護心ウー!彼女たちを守って!シン、ウーと2人で、できるだけ遠くへ!」
僕は声を張り上げる。
目の前でたいへんなことになっている彼女たちを守らなきゃ。
「行くわよ、トラ、ガイ!」
「きぃいいいいい!!!また、このクソガキどもぉ!」
「レベッカ、今日はあの剣士はいない。これはチャンスだぜ。」
キシュとレベッカ、兵士たちは優斗たちに目標を変えた。
この二人は強いからそれなりにくらいが高いはずだけど、どうにも短慮な人たちだと思う。
「ふんぬぅうううううううううう!」
ガイの突進が兵士をなぎ倒す。
「あちょー!」
「かかってきなさい、お・ば・さ・ん!」
ギリギリと砂を噛むようにレベッカは睨んだ。
「お前たち、ミユキさまと守護心を奪うぞ!」
「させない!」
右手に装着したカーディナルを構える。
内蔵した矢で、向こうへ行く兵士たちの足を射る。
「あぁぁっ。聖女様……!」
ぽたぽたと大きな瞳から零れる涙は、しずくとなって落ち、物言わぬ塊になってしまった聖女・スーリの頬に落ちる。
「ミイ、これからどうするんだ。マスターがいないのでは、この世への実体化はそうできまい。」
「ウー。そうね…。」
ウーはスーリの亡骸を抱き抱えて、ミユキを促す。
ウーやシンに守られながら、教会の裏に逃げると、先に逃がした子どもたちがエト人の集落の大人たちと固まって集まっている。
丁度奴隷の労働の時間が終わったところだった。
「聖女さま……。」
皆が聖女・スーリに祈りを捧げた。
「ここの奴隷の扱いは酷いわ。聖女の癒しがなくなれば、彼らは生きていけない。だから――――――」
「だから?」
「スーリとずっと準備してきた。チャンスは一度。ここが襲われることがあったら。みんなが集落に集まったタイミングで、事を運ぼうって。」
『ケン』と『モル』がここにいる。
スーリが二人とも契約をしていた。
その頃、教会の中では。
圧倒的勝利が近づいていた。
「こんな、こんなはずじゃっ。」
「守護心いっぱいとミユキさま連れて帰って、褒められると思ったのにぃ!」
何十人もいた兵士は、みな腕や足に傷を負って、地べたに這いつくばる。
「猪突猛進マシンガンパンチ!!!」
「コトラ流撲殺拳!」
「あちょおお!!」
「ひでぶ!」
金髪を振り乱し、レベッカの体はボコボコに膨れ上がる。
「まさ、まさかっ、なんで、お前みたいなっ」
「僕だっていつまでも……っ、僕だって強くなるんだ!」
握った剣ごとカーディナルのワイヤーで巻き込まれ、矢を打ち込んで拘束する。
優斗の目が赤く光る。
怒りを込めた矢は、わずかに火をともし、キシュにダメージを与えた。
「ひぃいいいいいいい!」
兵士たちがいったん逃げ帰るのも時間の問題である。
僕は声を張り上げる。
目の前でたいへんなことになっている彼女たちを守らなきゃ。
「行くわよ、トラ、ガイ!」
「きぃいいいいい!!!また、このクソガキどもぉ!」
「レベッカ、今日はあの剣士はいない。これはチャンスだぜ。」
キシュとレベッカ、兵士たちは優斗たちに目標を変えた。
この二人は強いからそれなりにくらいが高いはずだけど、どうにも短慮な人たちだと思う。
「ふんぬぅうううううううううう!」
ガイの突進が兵士をなぎ倒す。
「あちょー!」
「かかってきなさい、お・ば・さ・ん!」
ギリギリと砂を噛むようにレベッカは睨んだ。
「お前たち、ミユキさまと守護心を奪うぞ!」
「させない!」
右手に装着したカーディナルを構える。
内蔵した矢で、向こうへ行く兵士たちの足を射る。
「あぁぁっ。聖女様……!」
ぽたぽたと大きな瞳から零れる涙は、しずくとなって落ち、物言わぬ塊になってしまった聖女・スーリの頬に落ちる。
「ミイ、これからどうするんだ。マスターがいないのでは、この世への実体化はそうできまい。」
「ウー。そうね…。」
ウーはスーリの亡骸を抱き抱えて、ミユキを促す。
ウーやシンに守られながら、教会の裏に逃げると、先に逃がした子どもたちがエト人の集落の大人たちと固まって集まっている。
丁度奴隷の労働の時間が終わったところだった。
「聖女さま……。」
皆が聖女・スーリに祈りを捧げた。
「ここの奴隷の扱いは酷いわ。聖女の癒しがなくなれば、彼らは生きていけない。だから――――――」
「だから?」
「スーリとずっと準備してきた。チャンスは一度。ここが襲われることがあったら。みんなが集落に集まったタイミングで、事を運ぼうって。」
『ケン』と『モル』がここにいる。
スーリが二人とも契約をしていた。
その頃、教会の中では。
圧倒的勝利が近づいていた。
「こんな、こんなはずじゃっ。」
「守護心いっぱいとミユキさま連れて帰って、褒められると思ったのにぃ!」
何十人もいた兵士は、みな腕や足に傷を負って、地べたに這いつくばる。
「猪突猛進マシンガンパンチ!!!」
「コトラ流撲殺拳!」
「あちょおお!!」
「ひでぶ!」
金髪を振り乱し、レベッカの体はボコボコに膨れ上がる。
「まさ、まさかっ、なんで、お前みたいなっ」
「僕だっていつまでも……っ、僕だって強くなるんだ!」
握った剣ごとカーディナルのワイヤーで巻き込まれ、矢を打ち込んで拘束する。
優斗の目が赤く光る。
怒りを込めた矢は、わずかに火をともし、キシュにダメージを与えた。
「ひぃいいいいいいい!」
兵士たちがいったん逃げ帰るのも時間の問題である。
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