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本編
守護心申はイタズラ好き
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「守護心って、あとどれだけいるの?」
シンは、ここを仕切っているリーダーのお宅にいるという。
教えられた道をたどりながら、僕は、ウーに尋ねた。
「守護心は12体です。子丑寅卯辰巳午羊申酉犬亥。ここにいるのは申ですね、名前はシン。懐かしいです。守護心は普段は精霊界と呼ばれる次元にいるんですが、地球人が攻めてくるまでは、エトとそこを行き来していました。みんな知り合いなんですよ。ね、トラ?」
ウーに言われたトラはキョトンとしている。
「ゴメン、そういえば、どっかで見た気、してた。」
「トラを責めないであげて。私のママ役とパパ役をするのでいっぱいいっぱいだったと思うから。人間じゃないのに人間を育てるのって大変だったと思うのよ。」
「コトラ~。コトラかわいい、やさしい。俺の娘。宇宙一。」
「まあ、いい機会ですから。道すがら、説明しましょう。コトラさんも、聞いたことがないはずなので。」
トラがあんな状態なのは、無理やり人型になったせいで、記憶回路がショートしているのかもしれないと判断し、ウーは語り始めた。
「守護心12体のうち、1体は死亡を確認しています。最強と呼ばれた酉の守護心で、炎と再生の力を持っていて、私たちのリーダーでした。彼には人間の番の女性がいました。二人の間の子が覚醒すれば、新たな守護心になりますが、どうなるかは分かりません。そして、もう一人。この世から存在が消失した守護心がいます。最恐の守護心で雷の力を持っていた、精霊界の拷問吏、羊の守護心。」
「つまり、2体欠けているから元々、全部集めることは不可能なのね。残念だけどそれはある意味助かるかも。何が起きるか知りたい気はするけど、向こうも狙っていることを考えればリスキーだわ。」
「他は、子の守護心。女性型で、分裂と毒の能力を持っています。丑の守護心は絶世の美貌を持つ男性型で、重力を操る力があります。ものすごく恥ずかしがり屋で、いつも全身を隠していますが。辰の守護心は氷と風。巳は回復と癒し。午は瞬間移動の力がありますね。犬はサーチ能力に長けていたはず。亥は完全にパワー系です。」
「パワー系ってことは、私と相性がよさそうだわ。ぜひ仲間になってもらわなきゃ。」
「そして申は………
「ひゃっは~~~~~~~~!」
空中から蔦を使って、何かが通り過ぎる。
「あっ!」
気が付けば、頭のゴーグルがない!
「こらっ!シン!!!やめなさいっ!」
「ちぇ~。久しぶりだったんで、連れをからかっただけじゃん!ウーこわっ!」
木の陰から、小柄な少年が現れる。
人間にしては少しだけ丸みがあって大きめの耳。
お尻からは申の尻尾がゆらゆら揺れている。
「や、ようこそ。俺は守護心シン。この里の守護者だよ。」
守護心のスピードスター。
手癖が悪いのが玉に瑕の暗器使い。
それが、彼だった。
「おかげんはいかがですか?」
エリーが食事を部屋に運ぶ。
「……ありがとう。」
体中傷だらけで倒れていたエト人の青年。
エリーはきっと、この人もエト人狩りにあって、からがらここに辿り着いたのだろうと思っていた。
紫色の美しい髪。
闇夜に目立たない暗い色の服にブーツ。
知的な切れ長の目、通った鼻筋、整った顔立ちには気品があり、まるで王子様のようだ。
ずっとここにいてくれたらいい。
彼女は気づかなかったのだ。
彼の傷には、背中など、彼の手が届かない場所にはなかったことを。
痕にも残らないような軽い傷ばかりで、見た目ほど重症ではないことを。
シンは、ここを仕切っているリーダーのお宅にいるという。
教えられた道をたどりながら、僕は、ウーに尋ねた。
「守護心は12体です。子丑寅卯辰巳午羊申酉犬亥。ここにいるのは申ですね、名前はシン。懐かしいです。守護心は普段は精霊界と呼ばれる次元にいるんですが、地球人が攻めてくるまでは、エトとそこを行き来していました。みんな知り合いなんですよ。ね、トラ?」
ウーに言われたトラはキョトンとしている。
「ゴメン、そういえば、どっかで見た気、してた。」
「トラを責めないであげて。私のママ役とパパ役をするのでいっぱいいっぱいだったと思うから。人間じゃないのに人間を育てるのって大変だったと思うのよ。」
「コトラ~。コトラかわいい、やさしい。俺の娘。宇宙一。」
「まあ、いい機会ですから。道すがら、説明しましょう。コトラさんも、聞いたことがないはずなので。」
トラがあんな状態なのは、無理やり人型になったせいで、記憶回路がショートしているのかもしれないと判断し、ウーは語り始めた。
「守護心12体のうち、1体は死亡を確認しています。最強と呼ばれた酉の守護心で、炎と再生の力を持っていて、私たちのリーダーでした。彼には人間の番の女性がいました。二人の間の子が覚醒すれば、新たな守護心になりますが、どうなるかは分かりません。そして、もう一人。この世から存在が消失した守護心がいます。最恐の守護心で雷の力を持っていた、精霊界の拷問吏、羊の守護心。」
「つまり、2体欠けているから元々、全部集めることは不可能なのね。残念だけどそれはある意味助かるかも。何が起きるか知りたい気はするけど、向こうも狙っていることを考えればリスキーだわ。」
「他は、子の守護心。女性型で、分裂と毒の能力を持っています。丑の守護心は絶世の美貌を持つ男性型で、重力を操る力があります。ものすごく恥ずかしがり屋で、いつも全身を隠していますが。辰の守護心は氷と風。巳は回復と癒し。午は瞬間移動の力がありますね。犬はサーチ能力に長けていたはず。亥は完全にパワー系です。」
「パワー系ってことは、私と相性がよさそうだわ。ぜひ仲間になってもらわなきゃ。」
「そして申は………
「ひゃっは~~~~~~~~!」
空中から蔦を使って、何かが通り過ぎる。
「あっ!」
気が付けば、頭のゴーグルがない!
「こらっ!シン!!!やめなさいっ!」
「ちぇ~。久しぶりだったんで、連れをからかっただけじゃん!ウーこわっ!」
木の陰から、小柄な少年が現れる。
人間にしては少しだけ丸みがあって大きめの耳。
お尻からは申の尻尾がゆらゆら揺れている。
「や、ようこそ。俺は守護心シン。この里の守護者だよ。」
守護心のスピードスター。
手癖が悪いのが玉に瑕の暗器使い。
それが、彼だった。
「おかげんはいかがですか?」
エリーが食事を部屋に運ぶ。
「……ありがとう。」
体中傷だらけで倒れていたエト人の青年。
エリーはきっと、この人もエト人狩りにあって、からがらここに辿り着いたのだろうと思っていた。
紫色の美しい髪。
闇夜に目立たない暗い色の服にブーツ。
知的な切れ長の目、通った鼻筋、整った顔立ちには気品があり、まるで王子様のようだ。
ずっとここにいてくれたらいい。
彼女は気づかなかったのだ。
彼の傷には、背中など、彼の手が届かない場所にはなかったことを。
痕にも残らないような軽い傷ばかりで、見た目ほど重症ではないことを。
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