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スカイとレモネ編

血の真実

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「竜よ、竜の姿になるがよい。」


そういうと、スカイは見事な黄金の竜になった。




「ララ嬢の言う通り、見事な竜だ。この鱗だけでも財になりそうだな。金の塊だぞ。」


第一王子と第二王子は、その様子を見てリチャードの肩をたたいた。


「諦めろ。我が両親は外道だ。」

「もう、あの子は飼殺されるのだ。お前の思慮が足らなかったな。あの子と添い遂げたければ、何もかも捨てて逃げるべきだった。王族の常識や手順など考えるべきではなかった。」




あああ……。なんてことだ…。スカイ…。




目の前でスカイは傷つけられた。

その体から流す血をワイングラスに取り、嬉々として「不老不死に乾杯」と飲み干す者たち。



それを、リチャードは見ていなければならなかった。




「……おお、体が熱い。」


「きっと、不老不死の体に変わっていっているのでしょう。」




めいめいの体から糸が出る。


繭のように包まれ、光が中から点滅する。





だが――――――






「ぐぇっ。」


「な、なんでっ……。」



繭は破裂し、中の人間達は白目を剥いて死んでいた。


陛下も、王妃も、侯爵も、ララも…。






「えっ…。」

三人の王子達が惨状に驚いていると、突然、風が巻きあがった。





綺麗なレモンイエローの竜。



それが、主たちの死に騎士が右往左往している中に降り立った。




竜は、やがて、金髪の青年の姿に変わる。




「もう一人の竜が……。」

どよめきの中、青年は金色の目を冷ややかに、人間たちを一瞥した。



そして、スカイを見て、怒りを露にする。





「帝国の王子よ、なぜ守れなかった。お前には、スカイを娶る資格はない!大体、人間は愚かだ。成功例の伝承だけで簡単に不老不死になれると思い込んで。竜の血は人間を人間でないものに造り変える。竜と同じ時を生きられるような長寿種に。だが、成功率は低い。概ね死に至るものだ。」


竜は、スカイの側に行くと、回復魔法で傷を癒した。

そして、服従の首輪を魔法で解呪する。




「解呪魔法と回復魔法を!?竜は高度な魔法も使えるのか!!!?」

どよめき、騎士たちは畏れて壁際から威嚇するのみ。



解呪されたスカイは人の姿に戻り、そして、竜をみた。


「………レモネ。」

「もう大丈夫だよ、スカイ。お前を…竜を食い物にしようという者たちから、俺が守ってやるからな。もうすぐ、みんなも到着するから。」









スカイは、リチャードを見た。


自分を見て、怯えているような表情のリチャード。





全て、やっと理解した。



レモネの腕の中は、酷く安心できた。
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