国で一番醜い子は竜神の雛でした。僕は幸せになれますか?

竜鳴躍

文字の大きさ
上 下
73 / 90
スカイとレモネ編

謁見と罠

しおりを挟む
「父上!私は彼と…、結婚したいと考えております!どうかお許しください!!!」


ウエストリバー帝国の玉座の間では、騎士たちが左右に整列する重々しい空気の中、リチャードが許しを請うていた。


隣には、一歩下がってスカイ。





陛下は、きらきらと黄金のようにも見えるミルクティー色の髪の美しい青年と息子を交互に見る。



「リチャード。そこの彼は人間ではないと聞いておる。竜であると。」



「はい…。ですが、彼の半分は人間です。父親は今はなきメディカル王国の王子グランド。母親は確かに竜ですが…。何より私たちは愛し合っております。スカイは、人の世に骨をうずめると言っております。私とともに生きたいと。どうかお許しください!」


「ほう……。王族の尊き血を持つか。ならば、血統的にも問題はあるまい、許すとしよう!」


「ありがとうございます!」


リチャードとスカイは喜んだ。



「だが、竜ということで恐れを抱く者がおるやもしれん。不便をかけるが、この首輪をつけてもらえるか?これは服従の首輪。なあに、何もしない。周りの恐れをとるためのものだよ。」


「父上、それは…!」

陛下が目でリチャードを睨む。


「いいよ、リチャード様。許してもらえるためだもの。」



スカイは言われるがまま、玉座を上がり、自ら首を差し出す。






カチャリと音がして、その瞬間。スカイは拘束された。





「ははははははははははは!よくやった、でかしたリチャード!これで竜は我が国のものだ!」



「父上!?」

リチャードは焦り、スカイに駆け寄ろうとして騎士に阻まれる。


「ねえあなた、血は不老不死になるのでしょう?わたくし、若さを保ちたいわ!」


「それなら、わたくしも!」



「スカイ!スカイ!」



我先もと、卑しい会話が続く。





リチャードは後悔した。






彼のことを思うのなら、彼に手を出すべきではなかったのだ。

ここから彼を救う力はないのに。



思いあがった、お花畑の幼い恋だったのだ。


彼も、自分も。


しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【完結】運命さんこんにちは、さようなら

ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。 とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。 ========== 完結しました。ありがとうございました。

美しい怪物

藤間留彦
BL
幼き頃両親を事故で亡くし、莫大な財産を相続した美しい貴族の青年マティアス・ファルケンハインは、ある日人喰いの怪物と出会い恋に落ちた。 マティアスはその美しい怪物にシェーンという名を与え、側に置くが──。 人×人外のダークファンタジーBL。 表紙イラストはジョニー(Twitter@unshinon)様に描いて頂きました✨

【完結】元騎士は相棒の元剣闘士となんでも屋さん営業中

きよひ
BL
 ここはドラゴンや魔獣が住み、冒険者や魔術師が職業として存在する世界。  カズユキはある国のある領のある街で「なんでも屋」を営んでいた。  家庭教師に家業の手伝い、貴族の護衛に魔獣退治もなんでもござれ。  そんなある日、相棒のコウが気絶したオッドアイの少年、ミナトを連れて帰ってくる。  この話は、お互い想い合いながらも10年間硬直状態だったふたりが、純真な少年との関わりや事件によって動き出す物語。 ※コウ(黒髪長髪/褐色肌/青目/超高身長/無口美形)×カズユキ(金髪短髪/色白/赤目/高身長/美形)←ミナト(赤髪ベリーショート/金と黒のオッドアイ/細身で元気な15歳) ※受けのカズユキは性に奔放な設定のため、攻めのコウ以外との体の関係を仄めかす表現があります。 ※同性婚が認められている世界観です。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

僕だけの番

五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。 その中の獣人族にだけ存在する番。 でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。 僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。 それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。 出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。 そのうえ、彼には恋人もいて……。 後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

婚約破棄された婚活オメガの憂鬱な日々

月歌(ツキウタ)
BL
運命の番と巡り合う確率はとても低い。なのに、俺の婚約者のアルファが運命の番と巡り合ってしまった。運命の番が出逢った場合、二人が結ばれる措置として婚約破棄や離婚することが認められている。これは国の法律で、婚約破棄または離婚された人物には一生一人で生きていけるだけの年金が支給される。ただし、運命の番となった二人に関わることは一生禁じられ、破れば投獄されることも。 俺は年金をもらい実家暮らししている。だが、一人で暮らすのは辛いので婚活を始めることにした。

処理中です...