国で一番醜い子は竜神の雛でした。僕は幸せになれますか？

スカイとレモネ編

幼馴染

「リチャード様！聞きましたわよ！私というものがありながら、他の女に夢中になってるって…！」

桃色の髪をした若い女の子。

普通にしてたらとても可愛らしいんだろう。

腰まで伸びた髪はウェーブを描き、ツインテール。

フリルのついたふわふわドレス。


「酷い、酷いですわぁ！ララは帝国でリチャード様の御戻りを待っておりましたのに！」



キッと僕を見つめる。


「この泥棒猫！」


「ララ！君と私はただの幼馴染だろう！」


「婚約者候補ですわ！」

「私は承諾していない！」


「あなたのせいだわ！どうやってリチャード様を落としたの！だいたい家の中なんだから帽子をとりなさいよ！私は帝国の侯爵令嬢よ！不敬だわ！」


「あっ！」


「ララ！」


もみくちゃになって、帽子がはぎ取られ、髪が乱れる。




金色の鱗―――――――






慌てて額を隠したけど、目の前の令嬢の目がかっと見開いている。


「なによ。それ…。」




「ララ、お前は帰れ！」

リチャード様が僕を隠すようにして、令嬢を追い出してくれた。









門の外から何かを叫んでいる。

なんて話しているか、僕にはわからない。






「リチャード！リチャードッ！そいつ、人間じゃないわ！竜じゃないの！何なの、どういうわけなの！」


叫んでも答えは返ってこない。

ララは爪を噛み、帝国へ急ぎ帰ることにした。

竜は使い道がある。きっと、皇帝も欲しがるはずだ。









なんていうことだ。


いや、可能性はあった。



旧メディカル王国が無事だった理由。


それは亡国の王子が竜を助けたからだと。


そして、望まれてもなお彼が王として国を再興しなかった理由。






それは、彼が人の世を捨て、竜と添い遂げたからなのだな。



私の愛した人は、竜と人との混血児だったらしい。