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スカイとレモネ編
最近おかしい/恋に恋する
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最近、スカイがおかしい。
いつ誘っても忙しいと言っていなくなる。
毎日朝早くに出かけていき、日が暮れる前に帰ってくる。
もうすぐ成人だし、誰も何も言わない。
本当に問題がなければそれでいいんだ。
でも、なんだろう。胸騒ぎがする。
「母さん、最近スカイの様子がおかしいんだ。どう思う?」
レモネは母親に聞いてみることにした。
オランジュ母さんは、こういうことに対して勘は鋭い。
(自分と父さんのことになると途端にポンコツになるけど)
「あれは恋に恋する瞳だよね~。俺に透明化の魔法を習いに来たよ。人間の街に入り浸ってるんじゃないかな。恋したのは人間かもね。グランド様は元人間だし、仕方ないのかも。」
「母さん!なんで教えるんだよ!」
「だって、教えないと危険が増すだけだろ?透明化の魔法がなければ、夜に移動するしかない。日帰りだってできない。どうせ恋に燃え上がっているうちは誰がなんといっても聞かないんだから…。そんなに心配だったら、お前がスカイの心を掴めよ。取り戻してこい。恋敵に勝ってこい!お前にも教えてやるから、敵を見極めて来い?」
俺のお腹くらいしかないような小柄な母さんなのに、どうしてこうもカッコいいのか。
ばん!と腰をはたかれ、さっそく俺は透明化の魔法を習った。
………なにこれ、難しい。
「お待たせしました。」
「スカイさま!」
初めて出会ったカフェが待ち合わせの場所。
つばの広い帽子を外して、店内に入る。
室内だし、ちょっとくらい大丈夫だよね。
額が見えなければ見えないもの。
………でも、きっと。この人なら僕が竜でも変わらず好きだって言ってくれるんじゃないかしら。
三男だって言ってたし、お父さんみたいに僕を選んでくれたらすてきなのになあ。
「今日はどこへ遊びに行こうか?」
「大学の研究はいいの?」
「それもちゃんとやってるよ。こう見えても優等生なんだ。国の発展のためになることだからね。」
リチャードさんはえらいなあ。
お父さんに会わせたら、きっと気が合うんじゃないかしら。
お父さんは優秀な薬師でもあるもの。
「僕、特に行きたいところはないな。リチャード様と一緒にお話してるだけで楽しいんだもの。」
「それなら、僕の屋敷に来てみる?使用人もいっぱいいるから二人っきりにはならないよ。安心して?丁度帝国から送られてきた茶葉があるから、分けてあげる。」
「ほんとう?お父さんお茶が好きなの!嬉しい!」
「元メディカル王国の王子様だったね。お眼鏡にかなえばいいけど。」
初めて訪れたリチャードのお家は、この国にいる間だけの住まいで小さな住まいだと言っていたけど、帝国の王子らしく広くて豪華。
門をくぐると素敵な薔薇園があって、うきうきしちゃう。
扉を開けてもらって、入ると――――――――
「リチャードぉっ!」
気の強そうな高い声が聞こえた。
いつ誘っても忙しいと言っていなくなる。
毎日朝早くに出かけていき、日が暮れる前に帰ってくる。
もうすぐ成人だし、誰も何も言わない。
本当に問題がなければそれでいいんだ。
でも、なんだろう。胸騒ぎがする。
「母さん、最近スカイの様子がおかしいんだ。どう思う?」
レモネは母親に聞いてみることにした。
オランジュ母さんは、こういうことに対して勘は鋭い。
(自分と父さんのことになると途端にポンコツになるけど)
「あれは恋に恋する瞳だよね~。俺に透明化の魔法を習いに来たよ。人間の街に入り浸ってるんじゃないかな。恋したのは人間かもね。グランド様は元人間だし、仕方ないのかも。」
「母さん!なんで教えるんだよ!」
「だって、教えないと危険が増すだけだろ?透明化の魔法がなければ、夜に移動するしかない。日帰りだってできない。どうせ恋に燃え上がっているうちは誰がなんといっても聞かないんだから…。そんなに心配だったら、お前がスカイの心を掴めよ。取り戻してこい。恋敵に勝ってこい!お前にも教えてやるから、敵を見極めて来い?」
俺のお腹くらいしかないような小柄な母さんなのに、どうしてこうもカッコいいのか。
ばん!と腰をはたかれ、さっそく俺は透明化の魔法を習った。
………なにこれ、難しい。
「お待たせしました。」
「スカイさま!」
初めて出会ったカフェが待ち合わせの場所。
つばの広い帽子を外して、店内に入る。
室内だし、ちょっとくらい大丈夫だよね。
額が見えなければ見えないもの。
………でも、きっと。この人なら僕が竜でも変わらず好きだって言ってくれるんじゃないかしら。
三男だって言ってたし、お父さんみたいに僕を選んでくれたらすてきなのになあ。
「今日はどこへ遊びに行こうか?」
「大学の研究はいいの?」
「それもちゃんとやってるよ。こう見えても優等生なんだ。国の発展のためになることだからね。」
リチャードさんはえらいなあ。
お父さんに会わせたら、きっと気が合うんじゃないかしら。
お父さんは優秀な薬師でもあるもの。
「僕、特に行きたいところはないな。リチャード様と一緒にお話してるだけで楽しいんだもの。」
「それなら、僕の屋敷に来てみる?使用人もいっぱいいるから二人っきりにはならないよ。安心して?丁度帝国から送られてきた茶葉があるから、分けてあげる。」
「ほんとう?お父さんお茶が好きなの!嬉しい!」
「元メディカル王国の王子様だったね。お眼鏡にかなえばいいけど。」
初めて訪れたリチャードのお家は、この国にいる間だけの住まいで小さな住まいだと言っていたけど、帝国の王子らしく広くて豪華。
門をくぐると素敵な薔薇園があって、うきうきしちゃう。
扉を開けてもらって、入ると――――――――
「リチャードぉっ!」
気の強そうな高い声が聞こえた。
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