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スカイとレモネ編
人間のおじいさんおばあさんに
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スカイは人間の街が好きだ。
それは、自分の父親が元人間だったからかもしれない。
僕の正体を知っていて、父の故郷は何も言わない。
僕やプラチナは混血だから、雛特有の鱗は少ない。
額にちょん、と小さな鱗が一つあって、腕に少し鱗があるくらいだ。
だからつばの広い帽子をかぶって、長袖のブラウスを着て、よくこの町に遊びに来る。
この町は王を戴かず、みんなで方向性を話し合いながら領地を経営しているらしい。
そして、たまに僕の父が助言しているようだ。
僕のお父さんは、昔むかし、このあたりにあった王国の王子様だったんだって。
お母さんと出会って、お父さんは人間であることを辞めて、僕たちと生きることを決めた。
なんてロマンチックなんだろう。
僕もそんな恋がしたい。
いつものように夜のうちに空を飛び、街へ降りる。
もうすぐお誕生日だよ、って報告するの。
人間のおじいさんとおばあさんに。
街に夜に着いたら、お父さんが子どもの頃住んでいたお屋敷に今住んでいる人が、いつでも使っていいって言ってくれている部屋に入る。
勝手口の鍵は、いつでも持っているの。
それで、来たら、テーブルにメモを置く。
そうしないと、使用人の人たちが食事の準備とか困っちゃうから。
「おはようございます。」
朝の挨拶をすると、ココ伯爵と娘さんのカティアさん、その旦那さんと子どもたちに囲まれる。
「おはようございます、スカイさま!」
「スカイ様、今日はお墓参りの後、どこか行きますか!?」
カティアさんの息子のクルトさんに、お嬢さんのミルティアさん。
クルトさんが16歳で、ミルティアさんが14歳。
黒髪黒目で夜のようにしっとりと綺麗な子どもたち。
「空から見て、街がだいぶ変わったみたいだから、繁華街に行ってみたいな。」
「いいですよ!」
くるくるとしたまあるい目が、人懐っこく笑った。
かわいい!
竜の襲撃で焼け野原だった土地は、旧メディカル王国の領地を中心に復興を遂げ、街の中央には様々な施設が並ぶ。
ノースリーブ王国で商売をしていた者、何かを作っていた人たちは、新しい街で再び仕事を始めた。
新しくできた町は、住民目線で区画整理され、美しく整う。
そこの一角に、私は屋敷を構えている。
メディカル王国の宰相だった人たちが作った医学と薬学の専門的な教育機関に、私は通っている。
あの美しい人が目に焼き付いて離れない。
いつ会えるかもわからないのに。
私は恋煩いだ。
それは、自分の父親が元人間だったからかもしれない。
僕の正体を知っていて、父の故郷は何も言わない。
僕やプラチナは混血だから、雛特有の鱗は少ない。
額にちょん、と小さな鱗が一つあって、腕に少し鱗があるくらいだ。
だからつばの広い帽子をかぶって、長袖のブラウスを着て、よくこの町に遊びに来る。
この町は王を戴かず、みんなで方向性を話し合いながら領地を経営しているらしい。
そして、たまに僕の父が助言しているようだ。
僕のお父さんは、昔むかし、このあたりにあった王国の王子様だったんだって。
お母さんと出会って、お父さんは人間であることを辞めて、僕たちと生きることを決めた。
なんてロマンチックなんだろう。
僕もそんな恋がしたい。
いつものように夜のうちに空を飛び、街へ降りる。
もうすぐお誕生日だよ、って報告するの。
人間のおじいさんとおばあさんに。
街に夜に着いたら、お父さんが子どもの頃住んでいたお屋敷に今住んでいる人が、いつでも使っていいって言ってくれている部屋に入る。
勝手口の鍵は、いつでも持っているの。
それで、来たら、テーブルにメモを置く。
そうしないと、使用人の人たちが食事の準備とか困っちゃうから。
「おはようございます。」
朝の挨拶をすると、ココ伯爵と娘さんのカティアさん、その旦那さんと子どもたちに囲まれる。
「おはようございます、スカイさま!」
「スカイ様、今日はお墓参りの後、どこか行きますか!?」
カティアさんの息子のクルトさんに、お嬢さんのミルティアさん。
クルトさんが16歳で、ミルティアさんが14歳。
黒髪黒目で夜のようにしっとりと綺麗な子どもたち。
「空から見て、街がだいぶ変わったみたいだから、繁華街に行ってみたいな。」
「いいですよ!」
くるくるとしたまあるい目が、人懐っこく笑った。
かわいい!
竜の襲撃で焼け野原だった土地は、旧メディカル王国の領地を中心に復興を遂げ、街の中央には様々な施設が並ぶ。
ノースリーブ王国で商売をしていた者、何かを作っていた人たちは、新しい街で再び仕事を始めた。
新しくできた町は、住民目線で区画整理され、美しく整う。
そこの一角に、私は屋敷を構えている。
メディカル王国の宰相だった人たちが作った医学と薬学の専門的な教育機関に、私は通っている。
あの美しい人が目に焼き付いて離れない。
いつ会えるかもわからないのに。
私は恋煩いだ。
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