国で一番醜い子は竜神の雛でした。僕は幸せになれますか?

竜鳴躍

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イエローとオランジュ編

負けるもんか!

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竜の子どもは立って歩けるようになり、言葉を話せるようになると、竜の姿でじゃれあい始める。


空を飛び、追いかけっこを始める。

飛べない俺は、いつも置いてけぼり。


「オランジュは飛べないし…。」

「小さいし怪我させちゃうから…。」


あいつらに悪気はないのは分かってるよ!


でも、むしゃくしゃして…。





「オランジュ!どうしてお友達に怪我させたの!」

「………。」


「なんとかいったらどうなの!」


「俺が悪いでいいだろ!」



親が育てられない雛を育てる救護院から飛び出した俺は、一人で暮らし始めた。

いっそ人間の世界で生きてもいいかもしれない。

俺は、生まれつき翼の折れたオレンジ色の小さな竜。
醜い竜の姿になりたくもないし、なっても意味がない。


「おじさん、魔法書ちょうだい。」


「はい。オランジュ君は魔法好きなの?」


人間の国で行商をしているおじさんから魔法書を買う。






「俺は飛べないから。魔法くらい使えるようにならないと。」




魔法を使えるようになって…。


そうしたら人間の街で暮らそう。



俺は学もないし、力もないし。だけど、魔法が使えたら、何か仕事できるだろ。

それに、竜だってことをうまく隠せるだろうから。















「―――でさぁ、今度湖の方へ行こうぜ!」

「湖?もうすぐ冬だろ。」


「冬の湖も綺麗だよ!」


「………あの子、またきてる。」


レッドやブルースと部屋で寛いでいたら、店の方で来客が見える。


「あの子?」

レッドが身を乗り出した。


「ああ!あれ、オランジュか。ああ見えて俺たちより年上だよ。」


「よく知ってるな、レッド。」


「俺、騎士団の学校にいるだろ?見習いで見回りしてるんだ。あいつ、しょっちゅう捕まってるから。」


「捕まる?」


「喧嘩の常習犯。」

「そんな子には見えないけどな。」




オレンジ色の柔らかいふわふわの髪。

可憐な子。


魔法書を受け取って、嬉しそうに帰る背中が消えるまで、目が離せない。
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