国で一番醜い子は竜神の雛でした。僕は幸せになれますか？

アーサー再び

それは突然やってきた。


だが、警戒していたこと。
予見していたことだった。



黒い竜が壊した宮の上を旋回し、降りてきた。


アーサーは竜神夫妻の懐にある卵に視線を移す。


「…………アーサー！！！！」



「？シャイナ様はいないのか。まあ、いい。好都合だ。」





ラスターが身を伏せて卵を包み、ルフレは吠えて威嚇した。



「ふん、その程度。この間はもう動けんと思っていたから油断しただけだ！」



噛みつこうとするのを、アーサーは器用に身をひるがえして躱す。



「アーサー！」



三人の若い竜が飛び出した。

一際ガッシリした赤い竜が先陣を切る。黄色い竜がその横から。


青い竜は下の方で赤い竜に支援魔法をかけた。



「ふん、若造が。俺は竜の騎士のトップにいた男だぞ。お前たちなど前菜にもならんわ。」


若い竜では、黒い竜の三分の一くらいの大きさしかない。


羽虫のように追い払われて、三人は床に体を打ち付けた。



竜神のカリスマさえ効かない相手。




アーサーは噛みつこうとする竜神ルフレの頭を押さえて捕まえると、思いっきり壁に打ち付けた。

さらに、卵を守ろうとするラスターを噛んで、卵から離す。




「く………っ。」


うめき声に満足しながら、人の姿になって卵に近づき、驚愕した。





そこにあったのは、竜神の卵ではない。



「なんだこれは！鶏の卵ではないか！！！！」




ブルースはにやりとほくそ笑んだ。


「………お前が来ると分かっていて……。卵をそこに置いておくものか！」


叫び声とともに、ブルースは跳ね、アーサーの首の付け根に注射針を打ち込んだ。