国で一番醜い子は竜神の雛でした。僕は幸せになれますか？

俺があいつらならば

「アーサー！アーサー！！！」

煩い。

陛下が俺を呼び、金切り声をあげている。


「このっ、よくも失敗しおって！また逃げられたそうではないか！」


お前が余計な者まで配置したからだろう。


あの後、聞き込みをしたところによると、竜の連れはグランドという行商人だ。

元は、もう地図には載っていない、この国に吸収された小国の王族の生き残り。

まあ、今更それに対して他言するつもりはないが、これまで正体を隠して渡り歩いていただけあって、勘も鋭いし、頭も切れる男だ。


我々が竜を探しているということは町の噂になっていた。

それで分かりやすく宿の前にあいつらがいれば、そりゃあ逃げるだろう。



仮面の下でギッと睨む。

「ひぃ！」


「……逃げられたのは、役立たずがいたからです。警戒されている。追うのは俺だけでいい。」




「わっ、わかった。他の者は引かせるっ！」

「わかったら、気長に待っていただきたい。」


マントを翻して、俺は自室へ戻った。



城の西の塔の最上階。


仮面を外し、窮屈な鎧を脱ぎ捨てる。



世界地図をテーブルに広げ、俺は考えた。



「この国は大陸で何か国かが隣り合っている。竜は空が飛べる。俺なら、いつまでもすぐに追手がくるようなところにはいない。動くなら夜。人が空を飛べば目立つ。そして潜むなら森。」




――――――待っておれ。我が主、竜神の子よ。

ある日失われた卵を追って人間に紛れた。


あんな碌でもない人間の王など知ったことか。




人間は信用できない。

人間は敵。



人間の側にいることなど許さない。





仮面の下は、釣り目がちの美貌。

金色の瞳が怪しく光る。