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漆黒のアーサー

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竜には連れ合いがいるらしい。

黒髪の男は顔を仮面で隠している。
フード付きのマントに黒い鎧。

男は屋根からその宿を見張った。



もうチェックアウトしなければならない時分だというのに遅い。


冒険者風のありふれたダークブラウンの髪の男たちは宿を出て行く。



もしかして気付かれている?



泊まっているはずの2階の窓を蹴破って侵入すれば、そこはもぬけの空だった。



「やられた………!」



壊れた窓ガラスの破片が靴底を食み、カーテンが物悲しく揺れる。






「上手くいったね!」

「ああ。」


髪を染め、クエストに行く冒険者たちに紛れて宿を出た。


これからはなるべく人目を避けよう。


しばらく行商はやめた方が良いかもしれない。

いっそ冒険者にでもなるか。





夜になる前に山に入り、ティアと体を寄せて星を見る。

どんなにたいへんな事があったとしても、私はティアのそばを離れない。





遠くへ。


うんと遠くへ。


広い海を越えて行こう。


きっと二人で暮らせる場所がある。



そしてもしかしたら、竜たちもそこにいるかもしれない。
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