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君に愛を

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「グランドさまっ!人がいっぱいです!」

ティアは薄いワンピースだったから、行商の荷物から大きめのコートを羽織らせた。


初めて見る大きな街にはしゃぐティアはかわいい。


「危ないから私の隣を歩きなさい。手を繋ごう。」

モジモジして上目遣いで、ティアは私の手に触れた。

しっかり握り返す。

「まずはティアの服を買いに行こうね。」


ティアは何が似合うだろうか。


身長が高いから、カッチリとした服を着れば、
騎士や冒険者に見えるだろう。

私はティアを愛している。

ティアも私が好きらしい。


だけど、それは彼の世界が狭かったからだろう。


君を誰にも渡したくないけど、君が私より好きな人が出来たなら、私は――……。






グランド様はやはりかっこいい!

街行く人の中でもグランド様の周りだけキラキラして見える。

グランド様は僕に素敵なシャツとズボンと下着を買ってくれた。


えへ、僕似合うかな?

肌は綺麗になったけど、僕は自分に自信がない。


僕、グランド様がすき。


グランド様の隣にいていいって、自信を持てるようになりたいな。





宿に帰って、ティアが風呂に入っている間に、旅支度の買い出しをする。

次の行商で売るための仕入れもしなきゃな。

誰も見えない空間でマジックバックを取り出し、こちらで売る商品を確認する。


ティアに声をかけて、部屋から出ないように促し、カギを掛けて街に出た。



馴染みの店に銀細工のアクセサリーや時計などを下ろしていく。

仕入れた国は、宝飾品で有名な国で、かさばらない上高く売れるのでありがたい。

この町は高級食材のキャビアの缶詰が有名だ。美食の国で重宝されるから買い込んでいこう。



「そういえば…。面白い話、聞いたか?」

豊かな髭を撫でながら、店主が面白そうに笑う。



「話?」


「なんだい、知らないのか。お前ともあろうものが珍しい。竜だよ、竜!竜が見つかったって、隣国で騒ぎになってるらしい。どうやらこっちに飛んできたらしいね。探してつれ戻そうと躍起になっているようだよ。」


「………そうですか。」


「なんだ、反応悪いな。竜は万能薬でもあり、不死の薬でもあり、武器でもある。もっと興奮するかと思ったよ。」


「いや、びっくりしちゃって。」


「何でも、白い男らしい。銀色の髪に白い肌、目の色は金色とかいったかな。それだけ目立つ風貌なら、すぐ見つかるだろうよ。」


じゃあ、また。



店主と別れる。




急いで、この町を出なければならない。

換金できた金で缶詰を買いながら、染料と食料を買い込み、急いで宿に向かった。


宿の周りには、気配を消して潜んでいる者たちがたくさんいる。

様子を窺っているんだ。



宿代が前金でよかった。



鍵を開けて、ティアを抱きしめる。

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