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羽化
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僕の足のわっかは外れない。
僕の目の前で大好きなグランド様が殴られて、蹴られて。ボロボロになっていく。
やだよぉ、グランド様が死んじゃう。
やだあ、いやだああ。
「なっ、なんだこの光は!」
悪者たちの手が止まる。
グランド様はカッコイイお顔が台無し。
僕のためにあんなに傷ついて。
ボコボコにされた顔をわずかにあげて、目を細めた。
僕の体から、光があふれる。
顔や全身に生えていた鱗は消え、肌の色は真っ白に。
銀髪は柔らかに波を打ち、そして背中が変。
内側から作り替わっていく。
違和感とともに背中に翼が生える。
それは、天使の羽じゃない。
どちらかといえば悪魔の羽かも。
だって、鱗があって蝙蝠みたい。
だけど、どうだっていい。
僕が人間じゃなくても。正真正銘の化け物だとしても。
翼があれば僕はきっと飛べる。グランド様を助けて、一緒に逃げられる。
湧き上がってくる力。
脚に力を籠めれば、ふくらはぎの筋肉が膨らんでわっかはとれた。
「………ヒッ!」「化け物!まじもんの化け物だっ!!!」
よくも、僕の大好きなグランド様を!
キッと金色の目で睨めば、悪者は石になった。
「グランド様っ!」
グランド様は骨を折って、傷だらけで…。見ていられない。
きっと、僕のこと。嫌いになっちゃっただろうけど、ここから逃げなきゃ。
グランド様を抱きかかえて、僕は飛んだ。
初めて翼を動かしたから、きっとへっぽこだったけど。
僕たちは夜空の中へ溶けていった。
下の方で、僕を買った人たちが大騒ぎしているのが聞こえたけど、もう知らない。
僕の目の前で大好きなグランド様が殴られて、蹴られて。ボロボロになっていく。
やだよぉ、グランド様が死んじゃう。
やだあ、いやだああ。
「なっ、なんだこの光は!」
悪者たちの手が止まる。
グランド様はカッコイイお顔が台無し。
僕のためにあんなに傷ついて。
ボコボコにされた顔をわずかにあげて、目を細めた。
僕の体から、光があふれる。
顔や全身に生えていた鱗は消え、肌の色は真っ白に。
銀髪は柔らかに波を打ち、そして背中が変。
内側から作り替わっていく。
違和感とともに背中に翼が生える。
それは、天使の羽じゃない。
どちらかといえば悪魔の羽かも。
だって、鱗があって蝙蝠みたい。
だけど、どうだっていい。
僕が人間じゃなくても。正真正銘の化け物だとしても。
翼があれば僕はきっと飛べる。グランド様を助けて、一緒に逃げられる。
湧き上がってくる力。
脚に力を籠めれば、ふくらはぎの筋肉が膨らんでわっかはとれた。
「………ヒッ!」「化け物!まじもんの化け物だっ!!!」
よくも、僕の大好きなグランド様を!
キッと金色の目で睨めば、悪者は石になった。
「グランド様っ!」
グランド様は骨を折って、傷だらけで…。見ていられない。
きっと、僕のこと。嫌いになっちゃっただろうけど、ここから逃げなきゃ。
グランド様を抱きかかえて、僕は飛んだ。
初めて翼を動かしたから、きっとへっぽこだったけど。
僕たちは夜空の中へ溶けていった。
下の方で、僕を買った人たちが大騒ぎしているのが聞こえたけど、もう知らない。
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