王様との縁談から全力で逃げます。〜王女として育った不遇の王子の婚姻〜

竜鳴躍

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いつまでもあなたとともに中編

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「……なんか、ぐあい、わるいかも……っ。」

段々、熱が高くなる。



「…フワ、大丈夫か。フワ!」

僕を見かけたお兄様たちが駆け寄ってくる。


「この匂い…っ!フワ、お前、発情期か!」


「はつ、じょう、き?」


そっか。僕、大人になったんだね。


「保健室へ運ぼう!」

「俺は、王室へ連絡して迎えに来てもらう!」


お父様も、発情期が人より遅い方だったらしい。
だから、初めての発情期の時は大変だったって。

でも、大丈夫だから。



保健室には保健室の先生はいなかった。

兄たちは僕を寝かせて、慌てて出て行った。



「はぁ、はぁっ。くる、くるしいよぅ。どうすればいいのっ、いつまで続くのっ…。」



そのとき。

隣のカーテンがシャッと開いた。




「これはこれは。魔王様の末の王子のお坊ちゃん。帝国の王太子のお嫁さんになるんだっけ。」


「だっ、だれ…。」


「センパイ。俺はチーターの魔物とのハーフだよ~。お父様は人気俳優でね、すっごいカッコいいからこの国の伯爵令嬢に気に入られたってワケ。俺もゲイノウジンってやつ、やってるんだけどなァ。結構人気者なんだけど、知らない?」

「しっ、しらな…。」

目の前の男は肉食獣らしく、僕に狙いを定めている。

でも、僕は力が抜けて動けない。


「ねえ、もうココ、弄られてるの?」


長い指が僕の下腹をつつく。


まだ発情もしていない子どもだったから、孕めるようにはまだなっていない。

未熟な臓器を改造するのはよくないから。


「かわいい♡まだなんだったら、遊ぼうよ。気持ちよくしてあげるよ。」

大丈夫、雌じゃないんだし、一回くらい気づかないって。



「や、…やぁっ。」


ズボンの下をカチャカチャ外される。


「色しろっ。さすが、王室育ち。肌きめ細かいね。そそられる。」


「やだやだ、やめてっ。」


「足をバタバタするくらいの可愛い抵抗なんて、なんてことないよ。やっちゃえば発情期なんてすぐよくなるんだから、これは浮気じゃないよ~。」


男が自分の前を広げた。


自分のものとは違う。


いやっ。



「いやあぁ、オニキスっ、おにいさまっ、助けて!オニキス!オニキス!」




「ふぐぁ!」


誰かが殴られる音がして、体の上が軽くなった。


「自慢の顔が使い物にならなくなりたくなかったら、さっさとここをされ!」



チーターの彼は、すごい速度でいなくなった。



「フワ。迎えに来たよ、フワ。」

オニキスは優しく抱きしめてくれた。
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