85 / 87
いつまでもあなたとともに前編
しおりを挟む
「フワはしばらく見ないうちに大人になったなぁ。」
「…そんなこと、ない。」
一緒にお風呂に入って、僕の毛並みを嬉しそうにブラッシングするオニキス。
お互いの裸だって見慣れている。
今更、隠すことなんてないくらい。
オニキスは、僕に欲情したことなんてない。
本当に僕のことをお嫁さんにしたいって思っているのかな。
オニキスの腕はずいぶん太くなったし、胸や足の筋肉もたくましくなった。
あちこち見える刀傷の後は、訓練の痕。
その気になれば治せるんだそうだけど。男らしくてかっこいいから直さないんだって。
意味が分からない。
「…ねえ、オニキスは本当に僕のことをお嫁さんにしたいって思ってるの?」
「そうだよ。なんだか、お姉さまが産むお兄様の子の誰かが、自分のお嫁さんなんだって、思っちゃったんだ。生まれたフワの顔を見て、この子だって思ったんだよ。運命だって。そのままユートピアでは生きられない命だって聞いて、そのまま連れて帰って来たんだ。」
「その割には、こんなふうに一緒にお風呂に入ってくっついていても、僕に欲情してくれたことないじゃない。」
「…してほしいなら、するよ?」
「嘘。そんなふうにコントロールできるものじゃないんでしょ。」
「俺は自制心が人より強いんだよ。だって、フワ、まだ発情期来ていないでしょ?発情期もまだの子に欲情するわけにはいかないよ。」
「……そんなのっ、詭弁だっ。」
僕の服もヘアスタイルも、ずっとオニキスが決めてる。
僕はオニキスのお人形なんでしょ。
僕が違う姿になっても、僕を愛してくれる?
「もう僕、オニキスのお人形をやめるんだから。今日はオニキスと寝ない!」
枕を持って、僕はお義父さまとお義母さまの部屋に向かった。
「ふわ?」
つんとする。
もう僕は、オニキスの思い通りにならないぞ。
腰まで伸ばした長い髪を襟足で切った。
「行ってきます!」
学園へ向かう馬車の中で、本当に彼が自分を愛してくれるなら、きっとどんな髪型でも愛してくれる。
今夜も変わらず抱きしめてくれれば。
と、思っていた。
どくん。
どくん。
なんだろう、今日は鼓動が激しい。
熱っぽくなってきたかも。
風邪かなあ。
「…そんなこと、ない。」
一緒にお風呂に入って、僕の毛並みを嬉しそうにブラッシングするオニキス。
お互いの裸だって見慣れている。
今更、隠すことなんてないくらい。
オニキスは、僕に欲情したことなんてない。
本当に僕のことをお嫁さんにしたいって思っているのかな。
オニキスの腕はずいぶん太くなったし、胸や足の筋肉もたくましくなった。
あちこち見える刀傷の後は、訓練の痕。
その気になれば治せるんだそうだけど。男らしくてかっこいいから直さないんだって。
意味が分からない。
「…ねえ、オニキスは本当に僕のことをお嫁さんにしたいって思ってるの?」
「そうだよ。なんだか、お姉さまが産むお兄様の子の誰かが、自分のお嫁さんなんだって、思っちゃったんだ。生まれたフワの顔を見て、この子だって思ったんだよ。運命だって。そのままユートピアでは生きられない命だって聞いて、そのまま連れて帰って来たんだ。」
「その割には、こんなふうに一緒にお風呂に入ってくっついていても、僕に欲情してくれたことないじゃない。」
「…してほしいなら、するよ?」
「嘘。そんなふうにコントロールできるものじゃないんでしょ。」
「俺は自制心が人より強いんだよ。だって、フワ、まだ発情期来ていないでしょ?発情期もまだの子に欲情するわけにはいかないよ。」
「……そんなのっ、詭弁だっ。」
僕の服もヘアスタイルも、ずっとオニキスが決めてる。
僕はオニキスのお人形なんでしょ。
僕が違う姿になっても、僕を愛してくれる?
「もう僕、オニキスのお人形をやめるんだから。今日はオニキスと寝ない!」
枕を持って、僕はお義父さまとお義母さまの部屋に向かった。
「ふわ?」
つんとする。
もう僕は、オニキスの思い通りにならないぞ。
腰まで伸ばした長い髪を襟足で切った。
「行ってきます!」
学園へ向かう馬車の中で、本当に彼が自分を愛してくれるなら、きっとどんな髪型でも愛してくれる。
今夜も変わらず抱きしめてくれれば。
と、思っていた。
どくん。
どくん。
なんだろう、今日は鼓動が激しい。
熱っぽくなってきたかも。
風邪かなあ。
2
お気に入りに追加
1,598
あなたにおすすめの小説

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
某国の皇子、冒険者となる
くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。
転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。
俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために……
異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。
主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。
※ BL要素は控えめです。
2020年1月30日(木)完結しました。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません
月歌(ツキウタ)
BL
結婚式の当日に平凡オメガはアルファから離婚を切り出された。お色直しの衣装係がアルファの運命の番だったから、離婚してくれって酷くない?
☆表紙絵
AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる