王様との縁談から全力で逃げます。〜王女として育った不遇の王子の婚姻〜

竜鳴躍

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悪役令嬢の破滅

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アリステラとユンスが、倒れているドラゴンの前に立つ。

それぞれ、紫とオレンジの光の膜に包まれる。

「タイム、リバース。」

「ヴィジョン!」


各国が注視する中、ドラゴンの時が戻り、すうっと城の外へ出ていく。


それを見て、会場のウェスティは慌てた。


まずい! まずいわ! まだ時間はそんなに経っていないもの。あいつらはまだあそこにいるはず。
解散させないと………ッ!


「どこへ行くんだ?ウェスティ。」

兄のイースティに呼び止められる。

「まさか、とは思うが。お前、じゃないよなあ?」

ヒイイ!! お兄様が怖いっ!

お兄様の合図で、うちの黒服に両腕をがっつりガードされる。


『うわっ! なんでッ! ドラゴンが戻ってきた!??』

『ヒイイ!! 助けてくれえ! 誰かッ、興奮剤の解毒剤、早くっ!』

『話が違うぜ!! ウェスティ様あっ!!』

『ごめんよお、もうっ自由にするからぁ! 魔物の国に返すからあ!』

魔物の国反対派の揃いのジャケットを着た面々が映し出される。

ドラゴンは怒って暴れた後、魔物の国に向かって飛び立っていった。



会場がシーンとなる。



クロウ達に謝る各国の面々。

そして、それとは反対に、ウェスティを見る目は冷ややかだ。



「またあの方なのね……。公爵筋の本当のご令嬢であるアリステラ様を苛めて、公爵家を乗っ取ったって聞くわよ。」

「まあ、恐ろしい。だから、陛下たちが養女にされたのね。アリステラ様のために。」



「ウェスティ……。」

アリステラがカツンカツンとブーツを鳴らし、前に立つ。

「私へのことならばまだしも。皆様を危険に合わせるようなこと、許されませんよ!」

アリステラの指示で、ウェスティは軍に拘束された。

「何よっ、偉そうにっ! なんでそんな悲しそうな顔で私を見るのよ!」

「お前は妃殿下の温情を台無しにし、せっかく与えられたやり直しの機会をドブに捨てたのだ!」

イースティが前に出て、皆に頭を下げ、キースとアルフォンスに向かって膝をついた。

「皆様、家の妹の私怨で皆様を巻き込み、国へもご迷惑をおかけし、たいへん申し訳ありませんでした。私たち兄妹はこの時を持ってダイヤモンド公爵家を離籍し、爵位と領地は、本来継ぐはずだったアリステラ様へお返しします。」


「……!」

そんな事がしてほしいわけではない。

だが、アリステラが見たアルフォンスは、首を横に振っている。

これだけの事をした。

責任を取る必要があるのだ。

イースティお兄様は、今思えば悪い人ではなかった。
貴方には責任はないのに、一緒にかぶるのですね。
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