王様との縁談から全力で逃げます。〜王女として育った不遇の王子の婚姻〜

竜鳴躍

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スラムのシロ

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もうすぐ帝国のパーティーへ。
魔物代表として、クロウと参加する。

アラクネは、前の魔王のときからの侍従だ。
衣装係でもある彼の用意するスーツは、全て彼の作品。

品よく、光沢があり、動きやすく破れにくい。

自分に用意された黒地に金糸のスーツを着て、シロは姿見を見た。

とても数年前まで、スラムで暮らしていたようには見えない。

まさか、幼なじみが本当に魔王になり、自分が宰相になるなんて。



ましてや。俺は娼夫だったのに。



クロウたち魔狼は、スピードがあるから、使いっぱしりの情報屋や斥候役、伝令役として使われた。

俺みたいな狐は、頭でっかちで計算みたいな事務作業が得意だから、大体どこかのお屋敷でこき使われる。

見た目もいいから、時にはご主人様の性処理にも使われて。


俺は、珍しいアルビノで。
子どもの頃は本当に可愛かったから。


随分身体を投げ捨てたけど、それが普通だったから何とも思わなかった。

魔物の特性上、精子といえど取り込めば、相手を強化する。
だから、直接中へ出されることも無いし、口婬を要求されることもないし。
長時間こき使われるより余程楽だし。

可愛がられてご飯が食べられて満足だった。


飽きられてスラムに流れた時、俺は娼夫を始めたけど、ロウは気にしなかった。

生きるため。

スラムは助け合い。詮索なし。


みんなの為に魔王を倒すと息巻いて、真っ先に飛び出した彼が、もし、だめだったら。


ふと、彼の仇をとるのもいいのでは?と気が迷って、客を騙してナマでして、進化した。


ロウのように耳と尾以外は人間のような上位種に。


まさか、倒して凱旋して迎えに来るなんてなあ。

そして、城にはアラクネがいて。

城づとめなのにオドオドして自信のない彼に惹かれた。
 

けれど、素直に、好きだから自分を見てほしいなんて言えない。


ストレートに告白するには擦れすぎて、信憑性に欠けている。


俺は結構、真剣なんだけどな。
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