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閑話 キールのトラウマ
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「キール。サンドラは見なかったか?」
サンドラに読んであげる絵本をとりに書庫へ行った帰り道。
母親のアレックスに呼び止められた。
お母様は青い顔で、焦ってらして、俺もただ事ではない事を知った。
一生懸命探したけど、妹はいない。
そして、仕方なく部屋に戻って……
ベッドの上には、真っ赤に染まった妹がいた。
妹は俺の代わりに殺されたんだ。
まだ3歳だったのに。
お母様は壊れた。
「キール。お前が王になるのです。もはや、他には任せられない。お前以外の残る王子が王になれば、あの狂った妃は何をするか分からない。」
王になんかなりたくないよ。
俺はそんな器じゃないよ。
臣下になれってお母様は言っていたじゃない。
人が怖いんだ。
笑っていても、怖い人がいるんだ。
こんなの。無理だよ!
「サンドラの仇を打ちます。そして、その後、清算を頼みますよ。」
悲しい。悲しい。
お母様ごと、悪いことをした人を処刑した。
お母様は俺を褒めて、死んでいった。
小さい頃から幼なじみだった。
俺の乳兄弟。
キールは、人の本性が分かるらしく、人によって人見知りをした。
キールのお母様は、俺の母親の兄だったから、俺は臣下といっても距離が近くて、同い年だけど弟のようなキールを、一生そばで守ろうと思った。
妹が殺され、アレックス様がああなって、キールが傷ついていないわけはないだろう。
みんな、あいつのことを分かっていない。
アルフォンス様と結婚し、あいつは癒やされた。
そう、思っていた。
でもまだ傷はあったのだ。
息子が3歳になり、過保護が増した。
病的だとは思う。
だから、オニキス様は逃げるのだろう。
だが、俺はキールの気持ちがわかるから。
だって、3歳になったオニキスは、本当にサンドラ様に生き写しなのだ。
サンドラに読んであげる絵本をとりに書庫へ行った帰り道。
母親のアレックスに呼び止められた。
お母様は青い顔で、焦ってらして、俺もただ事ではない事を知った。
一生懸命探したけど、妹はいない。
そして、仕方なく部屋に戻って……
ベッドの上には、真っ赤に染まった妹がいた。
妹は俺の代わりに殺されたんだ。
まだ3歳だったのに。
お母様は壊れた。
「キール。お前が王になるのです。もはや、他には任せられない。お前以外の残る王子が王になれば、あの狂った妃は何をするか分からない。」
王になんかなりたくないよ。
俺はそんな器じゃないよ。
臣下になれってお母様は言っていたじゃない。
人が怖いんだ。
笑っていても、怖い人がいるんだ。
こんなの。無理だよ!
「サンドラの仇を打ちます。そして、その後、清算を頼みますよ。」
悲しい。悲しい。
お母様ごと、悪いことをした人を処刑した。
お母様は俺を褒めて、死んでいった。
小さい頃から幼なじみだった。
俺の乳兄弟。
キールは、人の本性が分かるらしく、人によって人見知りをした。
キールのお母様は、俺の母親の兄だったから、俺は臣下といっても距離が近くて、同い年だけど弟のようなキールを、一生そばで守ろうと思った。
妹が殺され、アレックス様がああなって、キールが傷ついていないわけはないだろう。
みんな、あいつのことを分かっていない。
アルフォンス様と結婚し、あいつは癒やされた。
そう、思っていた。
でもまだ傷はあったのだ。
息子が3歳になり、過保護が増した。
病的だとは思う。
だから、オニキス様は逃げるのだろう。
だが、俺はキールの気持ちがわかるから。
だって、3歳になったオニキスは、本当にサンドラ様に生き写しなのだ。
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