王様との縁談から全力で逃げます。〜王女として育った不遇の王子の婚姻〜

竜鳴躍

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肉の君と精霊の祝福3

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「素敵。どちらのご令嬢かしら。」

「スリムで儚げで、妖精のよう。」

「クロウ様にエスコートされて、お姫様みたいね。お似合いですわ。」

会場に戻ったアリステラが、さっきのみすぼらしい令嬢だとは、誰も思わない。


ファンファーレが鳴り、デビュタントの最後の締め。

お妃様からの祝福を受けるため、名前が呼ばれるのを待つのだ。


わくわくしながら待つ彼らに、まず、アルフォンスは第一声を発した。

「これから俺が皆さんを祝福します。王族の祝福は形式的なもので、名誉を受け、これから貴族として立派に領民のために生きるのだという誓いのようなもの。」

ですが。
その祝福を与える者が精霊の加護を持つ俺ならば。
少し違う。

「俺の祝福は、あなた達がこれまで生きてきた生き方、どうしたいかという想いによって、得られるものが違います。何故なら、あなた方には見えないかもしれませんが、俺の手伝いをしようと精霊が集まってきているから。いい子にはそれだけの祝福がえられるでしょう。」


会場がざわつく。


そして、会場の子の中には、今まで魔法が使えなかったのに精霊に気に入られて属性持ちになった子も出てきた。




素晴らしい!素晴らしいわ!
私は公爵令嬢なのだから、きっと素晴らしい祝福が得られるに違いない。

「エステル=ダイヤモンド公爵令嬢。」

妃の侍従に名前を呼ばれて、エレガントに妃の前に行く。

すごくいい匂い。
綺麗な人だわ。
男だなんて思えない。


エステルはドキドキしながら待っていたが、祝福をうけても何も変わらなかった。

おかしい!こんなのおかしいわ!




最後にクロウとアリステラの番になった。


クロウの体は緑と黄色に輝いた。

アリステラは、紫に光輝く。


「おめでとう。クロウは雷と風の魔法が使えるようになったよ。魔法耐性が増えた。魔力は少なめだから、使い方は考えるといいよ。」

「やった!」

「私は……?」

「アリステラ。君はレアな精霊に気に入られたらしい。時の精霊が君についた。君は時間に関する魔法が使えるようになるだろう。神に等しい魔法だ。正しく使うんだよ。」



「アリステラ! アリステラですって!?何故あなたがそんな服を着ているの!何故あなたがそんな魔法を得られたのよ!!」

エステルが会場で金切り声をあげている。



「静まりなさい。言ったでしょう?いい子には、それだけの祝福が与えられると。アリステラはいい子だった。それだけです。」

ここで、あなた方の今までのことを公表してほしいのですか?

そう、凄んで見せる。


令嬢は兄に抑えられた。


「アリステラは、私たちの養女になりました。稀有な魔法もあります。大切に守っていくつもりです。皆様、宜しくお願いしますね。」
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