王様との縁談から全力で逃げます。〜王女として育った不遇の王子の婚姻〜

竜鳴躍

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肉の君と精霊の祝福2

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腰まで伸びた黒髪をよく梳かして。
伸びた前髪を整えてやり、そうすると、アリステラの美しさ。可愛らしさは明らかだった。

侍女は、彼女の髪に隠れていた顔や体の白い肌に染み付いた痣に眉をひそめた。

よく見ると、肌もぼろぼろだ。

痩せて、タンパク質や脂質が足りていない。


これは日常的な虐待。

「こんな痣。気持ち悪いですよね。ドレスは地味で肌を隠すものを。」

「大丈夫。それはキール様が綺麗に治せますよ。それに、クロウ様は気にしないと思いますよ。」

侍女は花の精のようなふんわりとボリュームのある衣装を彼女に着せた。

彼女の肉の薄さが気にならない服を。



部屋から出てきたアリステラを見て、クロウはそっちの方がいい。似合ってる、かわいい。と本心から褒めた。

早速、アルフォンスたちのところへ連れて行くと、キールが魔法をかける。
肌の痣は消え、肌荒れも良くはなったが、アリステラは痩せていた。

「ありがとうございます。」

アリステラはお礼を言ったが、自分の身が変わることはない。
また、痣はつけられるのだろうと、心から笑うことはできなかった。

「ねえ、アリステラ。キールと話したのだけど。うちの養女にならない?」
アルフォンスがアリステラを見つめる。

「公爵には、許可を取ってある。もう少しで子が生まれるから、侍女として欲しいのだと勘違いしていたようだが。」

クックッと笑うキール王は、悪役っぽいけど優しい人で。

アルフォンス妃は素敵な人で。

「あ、ありがとうございます……。よろしくおねがいします!」

大粒の涙がこぼれた。


「さて、アリステラ。デビュタントはこれからが本番。これからみんなに成人の祝福があるけど、いい子にはいいことがあるからね。」

クロウも楽しみにしていてね。


アルフォンスは魅力的なウインクをした。
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