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閑話 キールのやきもち
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「アルフォンスのお腹、はれつしそう。パンパンだね。」
「そうだね、クロウ。もう少しで生まれてくるんだよ。楽しみだね。」
生まれたら、クロウは赤ちゃんのお兄ちゃんだね。
「ふぅん…。」
クロウは、ぱんぱんなお腹が珍しいみたい。
もしかしたら、クロウの兄弟がダメになってしまった時は、まだお母さんのお腹はそれほど大きくなかったのだろう。
妊娠初期に無理をしてしまった、せざるを得なかった彼女の痛みを考えると、ますますこのお預かりしているご子息を立派な魔王にせねば!という思いでいっぱいだ。
クロウが魔王を倒して、新しい魔王になったら。
立派な衣装をつけさせて、故郷に凱旋させよう。
そして、お姫様を迎えに行く王子様のように大事なお母さまを迎えに行ってもらうのだ。
「ねえ、アルフォンス。俺のデビュタント、来月なんでしょう?その前にアルフォンスと踊りたいけど…。おなか重いから無理?」
「激しいダンスは無理だけど、ゆっくりとしたチークなら大丈夫だよ。少しだけなら踊ろうか?」
そういうと、クロウはぱあっと顔を輝かせた。
「俺も、女の子の方しか分からないんだよね。丁度良かったかも。」
クロウの手には肉球の名残があって、ぷにぷにと気持ちいい。
手を組んで、ゆっくり、ゆっくりとしたリズムで踊る。
がたたっ。
何かが崩れる音がして振り返ると、キールが尻もちをついていた。
「アルフォ―――――――ンス!!!!
おれはっ
いつもっ
言ってるでしょうがっ!
そいつは、狼だって!!!」
「?何当たり前のこと言っているの?クロウは狼の魔物でしょ。」
「そういうことじゃあ、なくてっ!」
ツカツカツカと、キールが寄ってくる。
そして、俺とクロウを引き離すと、俺の腰を抱いた。
「クロウ!この人は俺の!俺の番! 俺がこのうちのボスなの!ハウス!」
クロウはつーんと聞き流している。
「俺のボスはアルフォンスだもん。アルフォンスが良いって言ったもん!」
「お前、そのうちカワイく甘えるふりをして、アルフォンスのことぺロペロ舐めるんだろう。体液でも摂取すればいけるんだろう!汗とか涙とか あ、 あれでも!」
「キール! こんな若い子にそんなえっちなことを言っちゃダメ!」
「アルフォンス、こいつ何にも知らないふりをしてるけど、ガッツリ知ってるから!既に!こういうのがむっつりだから!」
「そういうことはしないよ。あ、でもおっぱいが出る様になったらちょっと飲ませてほしい。」
「ほらああ!」
「まだおっぱいが欲しいなんて可愛いじゃない!」
「お前にはクロウが幼児にでも見えてるのか!」
「もう、そんなにやきもち焼くなら、キールがクロウにダンス教えてあげてくれる?俺、男のステップ分からないし。」
「「え。」」
じゃあ、ちょっと眠くなってきちゃったから仮眠してくる~。
そういって、寝室に行くアルフォンス。
残された二人は微妙な空気の中で顔を見合わせるのだった。
「そうだね、クロウ。もう少しで生まれてくるんだよ。楽しみだね。」
生まれたら、クロウは赤ちゃんのお兄ちゃんだね。
「ふぅん…。」
クロウは、ぱんぱんなお腹が珍しいみたい。
もしかしたら、クロウの兄弟がダメになってしまった時は、まだお母さんのお腹はそれほど大きくなかったのだろう。
妊娠初期に無理をしてしまった、せざるを得なかった彼女の痛みを考えると、ますますこのお預かりしているご子息を立派な魔王にせねば!という思いでいっぱいだ。
クロウが魔王を倒して、新しい魔王になったら。
立派な衣装をつけさせて、故郷に凱旋させよう。
そして、お姫様を迎えに行く王子様のように大事なお母さまを迎えに行ってもらうのだ。
「ねえ、アルフォンス。俺のデビュタント、来月なんでしょう?その前にアルフォンスと踊りたいけど…。おなか重いから無理?」
「激しいダンスは無理だけど、ゆっくりとしたチークなら大丈夫だよ。少しだけなら踊ろうか?」
そういうと、クロウはぱあっと顔を輝かせた。
「俺も、女の子の方しか分からないんだよね。丁度良かったかも。」
クロウの手には肉球の名残があって、ぷにぷにと気持ちいい。
手を組んで、ゆっくり、ゆっくりとしたリズムで踊る。
がたたっ。
何かが崩れる音がして振り返ると、キールが尻もちをついていた。
「アルフォ―――――――ンス!!!!
おれはっ
いつもっ
言ってるでしょうがっ!
そいつは、狼だって!!!」
「?何当たり前のこと言っているの?クロウは狼の魔物でしょ。」
「そういうことじゃあ、なくてっ!」
ツカツカツカと、キールが寄ってくる。
そして、俺とクロウを引き離すと、俺の腰を抱いた。
「クロウ!この人は俺の!俺の番! 俺がこのうちのボスなの!ハウス!」
クロウはつーんと聞き流している。
「俺のボスはアルフォンスだもん。アルフォンスが良いって言ったもん!」
「お前、そのうちカワイく甘えるふりをして、アルフォンスのことぺロペロ舐めるんだろう。体液でも摂取すればいけるんだろう!汗とか涙とか あ、 あれでも!」
「キール! こんな若い子にそんなえっちなことを言っちゃダメ!」
「アルフォンス、こいつ何にも知らないふりをしてるけど、ガッツリ知ってるから!既に!こういうのがむっつりだから!」
「そういうことはしないよ。あ、でもおっぱいが出る様になったらちょっと飲ませてほしい。」
「ほらああ!」
「まだおっぱいが欲しいなんて可愛いじゃない!」
「お前にはクロウが幼児にでも見えてるのか!」
「もう、そんなにやきもち焼くなら、キールがクロウにダンス教えてあげてくれる?俺、男のステップ分からないし。」
「「え。」」
じゃあ、ちょっと眠くなってきちゃったから仮眠してくる~。
そういって、寝室に行くアルフォンス。
残された二人は微妙な空気の中で顔を見合わせるのだった。
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