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ルピとアバロン
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ルピの国と帝国は遠い。
2日かけてこちらへ来る前に、こちらも準備が必要だ。
前に使っていた部屋をメイクしながら、ユンスは目をパチパチした。
「うん、久しぶり。」
壁から見慣れないドアが生えていると思ったら、アバロンが恥ずかしそうに顔を出す。
「る。ルピが来るのだろう!暫く部屋を私の部屋と繋げておこうと思って……。」
離宮にいるオフィリア様から聞いてはいた。
「あなた様はキール様の先祖と同じ生命の樹の精霊と聞いております。キール様の力は、その先祖由来とも。つまり、あなたもその気なら自分で自分を弄って孕めるようになれるのでしょう?」
精霊王の目が泳いでいる。
「ルピ様にはまだ婚約者がおりませんが、一国の王になられる方。はしたないですよ?」
「分別はつくつもりだよ。」
「若い王子を体で騙すようなことはしませんね?」
「しない! 分かってる。だから、一緒にいられるうちは、なるべく一緒にいたいのだ。」
縋るような目をされれば、ユンスもあきらめざるを得なかった。
二人はそうなのだろう。
彼だけでなくルピも。
だけれど、一国の王太子と精霊王の恋は簡単じゃない。
「ルピ!!! よく来たな!」
「いらっしゃい!」
港についたルピは、将軍とユンスで丁重に迎えに行った。
そして、城ではキールとアルフォンスが出迎える。
「今日から宜しく頼みます。」
「こちらこそ。」
ガッとキールとルピが握手する。
「そうそう、ルピに紹介するね。昨日俺の契約獣になった魔狼の子どものクロウ。」
アルフォンスの後ろから銀狼が顔を出した。
「あはは、かわいい。」
「でしょ!!」
「くんくん、うまそうなにおい。」
「ああ、羊肉の塩漬けを持ってきたから。」
「お前いいやつ! たべるっ!!」
やった!とクロウが飛び跳ねた。
「その肉は私のためにルピが持って来たんだぞ!!」
愛しい人。
久しぶりに会えた。
急に現れたペールグリーンを見て、
ルピは柔らかく微笑んだ。
「アバロン。ただいま。」
2日かけてこちらへ来る前に、こちらも準備が必要だ。
前に使っていた部屋をメイクしながら、ユンスは目をパチパチした。
「うん、久しぶり。」
壁から見慣れないドアが生えていると思ったら、アバロンが恥ずかしそうに顔を出す。
「る。ルピが来るのだろう!暫く部屋を私の部屋と繋げておこうと思って……。」
離宮にいるオフィリア様から聞いてはいた。
「あなた様はキール様の先祖と同じ生命の樹の精霊と聞いております。キール様の力は、その先祖由来とも。つまり、あなたもその気なら自分で自分を弄って孕めるようになれるのでしょう?」
精霊王の目が泳いでいる。
「ルピ様にはまだ婚約者がおりませんが、一国の王になられる方。はしたないですよ?」
「分別はつくつもりだよ。」
「若い王子を体で騙すようなことはしませんね?」
「しない! 分かってる。だから、一緒にいられるうちは、なるべく一緒にいたいのだ。」
縋るような目をされれば、ユンスもあきらめざるを得なかった。
二人はそうなのだろう。
彼だけでなくルピも。
だけれど、一国の王太子と精霊王の恋は簡単じゃない。
「ルピ!!! よく来たな!」
「いらっしゃい!」
港についたルピは、将軍とユンスで丁重に迎えに行った。
そして、城ではキールとアルフォンスが出迎える。
「今日から宜しく頼みます。」
「こちらこそ。」
ガッとキールとルピが握手する。
「そうそう、ルピに紹介するね。昨日俺の契約獣になった魔狼の子どものクロウ。」
アルフォンスの後ろから銀狼が顔を出した。
「あはは、かわいい。」
「でしょ!!」
「くんくん、うまそうなにおい。」
「ああ、羊肉の塩漬けを持ってきたから。」
「お前いいやつ! たべるっ!!」
やった!とクロウが飛び跳ねた。
「その肉は私のためにルピが持って来たんだぞ!!」
愛しい人。
久しぶりに会えた。
急に現れたペールグリーンを見て、
ルピは柔らかく微笑んだ。
「アバロン。ただいま。」
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