王様との縁談から全力で逃げます。〜王女として育った不遇の王子の婚姻〜

竜鳴躍

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惚気しかない

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「蛇みたいな腐ったようなにおいの本性の女だったから、めちゃくちゃ殺したかったけど我慢した。ほめて。」

帰ってくるなり、キールはアルフォンスのいるベッドに潜り込んで、彼を抱きしめた。

アルフォンスは笑って、頭を撫でる。



「我慢して、政治をすることを覚えましたね、えらいですよ、キール。」

「ユンス!お前の褒め方は全くうれしくない!いつも俺を子ども扱いして!!同い年なのにっ!」


「俺の方が年上です!」

「そんなの2か月程度じゃないか!」



軽口をたたく従者とキール王の姿を見て、ルピは苦笑した。



「まあ、もう夜も遅いんだし。私も離宮に戻って眠るから、あとは二人でゆっくり仲良くしたらいいわ。」

母親のオフィリアはあくびをしている。


「二人でゆっくりって言っても…。お腹に赤ちゃんがいるんだったら、…ねぇ?」

アルフォンスはもじもじしている。

「俺は、抱きしめるだけでも満足だよ。アルフォンスが欲求不満なのだったら、入れはしない方向でも…。」


「何を言っているんだ、お前たち。精霊返りと半精霊の子だぞ。人間とは違う。愛を深める行為なら問題ない。両親が愛しあっていることが、子の栄養になるんだ。」

「…と、精霊王であるお父様が申しておりますので、ごゆっくり?」

手のひらをひらひらさせて精霊の姿になると、オフィリアが離宮へ飛んでいく。
アバロンが爆弾発言をしたので、二人のヤる気は上がってしまった。



「本当に、仲良しなんだな。愛しているんだな、彼のこと。」

ルピがアルフォンスを見つめて笑う。


「うん。最初はよくわからなかったけど、だんだんわかって来た。友達とかじゃない好きで、キールのこと好きなんだなって。」



「幸せでよかった。」


「そういえば、お母さまは離宮へ行ったけど、精霊王様とルピはどうするの?もうだいぶ遅い時間だけど。」



「あぁ。そういえばホテル取り忘れた…。」

「精霊界にはいつでも帰れるが、こちらのうまいモノをもう少し食べてから帰りたい。」



「なら、二人とも城に泊まるといい。部屋はたくさん空いている。」

「用意させますよ。といいたいところですが、あまり使っていない部屋ばかりなので、今すぐ準備するとなると清掃を考えると一部屋になりますが、よろしいでしょうか。」

ユンスが、腕を組む。



精霊王アバロンとルピが顔を見合わせる。



まあいいか。


こうして二人は同じ部屋に泊まることになった。
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