王様との縁談から全力で逃げます。〜王女として育った不遇の王子の婚姻〜

竜鳴躍

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精霊王の試練

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「おはよう。」

目が覚めると、同じベッドにキールがいる。

目が合って、恥ずかしい。

中にたくさん出されたから、下半身が少しベトベトしている気がするけど、不快ではない。

受け入れた場所はまだ違和感があって、中が擦れた痛み。

「ここ……。キールの、ある。」

下腹部が重い。


「孕める体だから、普通の男同士のように掻き出す必要はないんだ。アルフォンスの腹に根付くといいな。」

そっとキールが腹に触れる。

「……どうしよう。また、抱きたい。」


「一回だけなら、いい……。」

許可を出すと、キールは色気たっぷりに微笑んで。

ユンスが呼びに来るまで、俺を抱いた。




「本当にもう!極端!!」ユンスがぷりぷり怒りながら、湯浴みの支度をする。「そんなドロドロじゃ身支度できん!二人でさっさと体を整えてきてください!えっちは無しで!!」

キールは俺を姫抱きにして、急いで浴室へ行く。

キールに体を洗われて、俺はキールの髪の毛を洗った。





「結婚式は、来週末。場所は王宮でいいですよね。」

「ああ。あと、アリアの改名式もしたい。今日から、アルフォンスとみんなも呼んでほしい。」 

「分かりました。で、用意している衣装ですが。」

ユンスが包を広げると、  
黒のスーツに黒のドレスシャツに、キラキラした銀糸のヴェールと、大きなエメラルドのネックレス。
蜂蜜色のスーツに青いサファイアと虹色に光るダイヤモンドを組み合わせたブローチが出てきた。

「お互いの色だ。アルフォンスは、白が似合うから、俺が銀髪ならよかった。」

「夜空みたいで好きだよ。」

「アルフォンス妃は色白ですから、黒も映えます。」

そういうと、キールもホッとしたらしい。


「楽しみだな。ずっと、俺。結婚式が怖かった。性別を偽っていたから。でも、姫として育ったから、誰かをエスコートして結婚するイメージも持てなくて。」

お母様と二人で、結婚しないで生きていくんだろうって思ってた。


「愛してるよ、アル――――」




突然、突風が吹いた。




思わず目を閉じて、開けると。

色違いのお母様――男の人がいる。



「アリア。ごめんなさい、アリア。説得できなかった!」

彼の背後には、お母様。


「アリア。クロノス王国の新しい王よ。私は精霊王。お前たちの結婚は、私は、認めない!」


精霊王は、目を細めて俺の腹を見る。

「もう弄られたのか。しかも、できているじゃないか。」


彼が指を出すと、蔦がのび、俺の口内に侵入しようとする。

「墮胎させてやる。樹液を飲め。」

嫌だ!

俺は空気の渦を出して、蔦を切った。


「アルフォンスを大事にする!大切なんです!」

「俺も、キールがいい!」


キールが俺を抱きしめ、俺も抱きつく。


「………そんなに言うなら、私の試練を受けてもらおうか。」


精霊王は、苦しげに吐き捨てた。
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