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断罪の婚約式1
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婚約式というのに、部屋にアリア母娘はおらず、城内は騒然としていたが、母娘は直接クリスタル陛下が連れてくるので心配いらないという。
その代わり、婚約式の様子を帝国の魔法で世界中に中継したいと言われ、王は承諾した。
ファンファーレ。
花のアーチで飾られた城内の中庭。
光の海に祝福され、クリスタル陛下と母娘が入ってくる。
アリアの髪は短くなっており、白いドレスの下からはズボンを履いているようだ。
そして、アリアは気を失っているようで、陛下に姫抱きにされており、母親が後ろにブライズメイドのように付き添っていた。
「アリア、あんな男みたいに短くして。さすがに残酷王に輿入れなんて恐ろしくて出家でもしようとしたのかしら。」
プルミエ王女が嘲笑う。
「残酷王でも金はあるし、若いし美形じゃないか。あいつには勿体ないくらいなのにな。」
王太子も嘲笑した。
「クロノス王。この度はクリスタル帝国王妃として、アリアを戴き、母君も貰い受けることを承諾、ありがとう。」
ただ一人、この場で緊張する王に、キールは笑顔で礼を言った。
「これより、アリアも前王妃も帝国の王族となる。確かに、承認する。」
二人の陛下が公文書にサインする。
「確かに。これから二人は私の庇護に入る。……では、もうこのような偽りの姿は要らないな? アリア。」
愛おしげにキールが自分の衣装の袖でアリアの顔に触れる。
美貌を損なうための化粧が剥ぎ取られ、母親そっくりの美姫が現れる。
「えっ!? なに? あれが本当のアリアなの!?」
プルミエが震える。
会場の貴族が、ざわめいている。
「我が妃は、嫉妬を恐れて、あえて凡庸で地味な醜い姫を装っていたようだよ。」
クックッとキールが笑う。
周りの貴族もみなアリアに見惚れているのが、面白い。
「ん………。」
ようやく、腕の中のアリアが目覚める。
「愛しいアリア。昨夜は無理をさせたな。目が醒めたか?」
「なっ………!」
会場がざわめく。
帝国の陛下に処女を捧げたということは、これはもう婚約式ではなく、事実上の結婚式に等しい。
意識が覚醒して。
婚約式の最中。
頭上には、俺たちの様子を発信しているモニターがあって、俺は思わず顔を隠した。
「どうして! メイクが!!」
見ると、プルミエがギリギリ凄い顔で睨んでる。
嫌だあ!面倒くさい!
「アリア。もういいのよ。これは断罪の時間なの。」
お母様が妖しく笑う。
どういうこと?
「さて、せっかくだから。顔だけじゃなく、皆様に君の真実の価値を理解して頂こうか?きっと面白いぞ。」
「キール!お前、何を!?」
キールが指を鳴らすと、どこともなく配下の者がやってくる。
「真実の、価値?」
王は、何が起こるのか、どういうことなのか、顔色が悪い。
配下の者はアリアを取り囲んだ。
「ちょっと! 何なんだ!!」
アリアは騒いでいる。
そして、配下の者が去ると、そこにいたのは、美貌の男。
ドレスを剥ぎ取られて王子様のような白のスーツを着た、アルフォンス。
「あぁっ! ああ、もう!」
せっかく今まで隠し通していたのに!
アルフォンスの姿に王と王太子、騎士団がざわめく。
「アリア! お前、王子だったのか!」
「お前がアルフォンスの正体だったのか!?」
その頃国中では、モニターに映し出されたアリア=アルフォンスに大騒ぎになっていた。
ジェシカや冒険者ギルドの者たちも、食い入るように見つめる。
「あなた方や騎士団が束になって倒せなかったドラゴンは、彼が一人でたおしたんですよね。」
にやにやと、キールは嬉しそうだ。
「青い瞳に虹色の虹彩の王子。無詠唱の二つ名の、全属性の魔法を操り、素晴らしい魔力の、頼りになるS級冒険者。精霊に愛される代行者。手放してくれてありがとうございます。」
「精霊……などは御伽話だっ。」
「精霊はいますよ?ねえ、オフィリアお母様?」
「そうよ、失礼だわ。」
クスクス笑いながら、お母様が姿を変える。
本気を出せば、普通の人間にも姿を見せることが出来る。
「私は精霊王アバロンの娘、オフィリア。わたしたち精霊は、この国を捨てて、帝国にうつりますわ。」
お母様は爆弾を投下した。
その代わり、婚約式の様子を帝国の魔法で世界中に中継したいと言われ、王は承諾した。
ファンファーレ。
花のアーチで飾られた城内の中庭。
光の海に祝福され、クリスタル陛下と母娘が入ってくる。
アリアの髪は短くなっており、白いドレスの下からはズボンを履いているようだ。
そして、アリアは気を失っているようで、陛下に姫抱きにされており、母親が後ろにブライズメイドのように付き添っていた。
「アリア、あんな男みたいに短くして。さすがに残酷王に輿入れなんて恐ろしくて出家でもしようとしたのかしら。」
プルミエ王女が嘲笑う。
「残酷王でも金はあるし、若いし美形じゃないか。あいつには勿体ないくらいなのにな。」
王太子も嘲笑した。
「クロノス王。この度はクリスタル帝国王妃として、アリアを戴き、母君も貰い受けることを承諾、ありがとう。」
ただ一人、この場で緊張する王に、キールは笑顔で礼を言った。
「これより、アリアも前王妃も帝国の王族となる。確かに、承認する。」
二人の陛下が公文書にサインする。
「確かに。これから二人は私の庇護に入る。……では、もうこのような偽りの姿は要らないな? アリア。」
愛おしげにキールが自分の衣装の袖でアリアの顔に触れる。
美貌を損なうための化粧が剥ぎ取られ、母親そっくりの美姫が現れる。
「えっ!? なに? あれが本当のアリアなの!?」
プルミエが震える。
会場の貴族が、ざわめいている。
「我が妃は、嫉妬を恐れて、あえて凡庸で地味な醜い姫を装っていたようだよ。」
クックッとキールが笑う。
周りの貴族もみなアリアに見惚れているのが、面白い。
「ん………。」
ようやく、腕の中のアリアが目覚める。
「愛しいアリア。昨夜は無理をさせたな。目が醒めたか?」
「なっ………!」
会場がざわめく。
帝国の陛下に処女を捧げたということは、これはもう婚約式ではなく、事実上の結婚式に等しい。
意識が覚醒して。
婚約式の最中。
頭上には、俺たちの様子を発信しているモニターがあって、俺は思わず顔を隠した。
「どうして! メイクが!!」
見ると、プルミエがギリギリ凄い顔で睨んでる。
嫌だあ!面倒くさい!
「アリア。もういいのよ。これは断罪の時間なの。」
お母様が妖しく笑う。
どういうこと?
「さて、せっかくだから。顔だけじゃなく、皆様に君の真実の価値を理解して頂こうか?きっと面白いぞ。」
「キール!お前、何を!?」
キールが指を鳴らすと、どこともなく配下の者がやってくる。
「真実の、価値?」
王は、何が起こるのか、どういうことなのか、顔色が悪い。
配下の者はアリアを取り囲んだ。
「ちょっと! 何なんだ!!」
アリアは騒いでいる。
そして、配下の者が去ると、そこにいたのは、美貌の男。
ドレスを剥ぎ取られて王子様のような白のスーツを着た、アルフォンス。
「あぁっ! ああ、もう!」
せっかく今まで隠し通していたのに!
アルフォンスの姿に王と王太子、騎士団がざわめく。
「アリア! お前、王子だったのか!」
「お前がアルフォンスの正体だったのか!?」
その頃国中では、モニターに映し出されたアリア=アルフォンスに大騒ぎになっていた。
ジェシカや冒険者ギルドの者たちも、食い入るように見つめる。
「あなた方や騎士団が束になって倒せなかったドラゴンは、彼が一人でたおしたんですよね。」
にやにやと、キールは嬉しそうだ。
「青い瞳に虹色の虹彩の王子。無詠唱の二つ名の、全属性の魔法を操り、素晴らしい魔力の、頼りになるS級冒険者。精霊に愛される代行者。手放してくれてありがとうございます。」
「精霊……などは御伽話だっ。」
「精霊はいますよ?ねえ、オフィリアお母様?」
「そうよ、失礼だわ。」
クスクス笑いながら、お母様が姿を変える。
本気を出せば、普通の人間にも姿を見せることが出来る。
「私は精霊王アバロンの娘、オフィリア。わたしたち精霊は、この国を捨てて、帝国にうつりますわ。」
お母様は爆弾を投下した。
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