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悪い狼
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「夕飯食べた?」
首を横に振る。
「そっか。じゃあ、3人分でいいかな?」
えっ。
お母様は今精霊に戻っているし、見えないはずなのに。
「ごめんね。俺は精霊が見えるんだよ。会話はできないけどね。」
キールは首をすくめた。
「精霊が見える人自体は、割といるのよね。」
お母様がポンッと人間の姿になる。
「だいたい、副産物で何か特殊な力を持つのだけど。」
「……そうですね。俺の場合は、その人の本性が視えることがあります。あなたたちは、いい人ですね。」
それって辛いことじゃないのかなと思うけど、キールはあっけらかんとしたもので、こんな話はもういいでしょうと、食事の手配を始めた。
食事が終わって。
風呂が終わって。
お母様は精霊の姿になって、ソファのクッションの上で爆睡している。
俺も寝ようっと。
キールがベッドにおいでおいでしていて、潜り込む。
ふふっ、仲のいい兄上がいたなら、こんな感じだったのかな。
ふいに、キールの腕が腰に回った。
「?」
「アリア王女。」
耳元で囁かれて、驚く。
「俺はキール=クリスタル。君の夫になる男だよ。」
えっ。ちょっと待て。考えが追いつかない。
手首を押さえられて、仰向けにされる。
「明日が婚約式だというのに、にげようなんて許せないな。絶対に逃がさないよ。」
なんで、クリスタル陛下が単独行動をしていたのかとは思うけど、そのことを知ってるということは本物。
キールが。
この男が俺の輿入れ先。
残酷王。
さっきまでのキールからは考えられないけど、確かに今のキールは。
…怖い。
「なんだよ、分かるだろ!? アリアは今の王に殺されないよう姫のふりをしていたけど、男なんだよ!男じゃ――――」
「別に男でもいいんだよ。」
「男が妃になれるわけないだろ!そろそろ女装も無理があるし、第一子が産めないっ!!」
「クリスタルの王族の魔法に、男でも産める体にする魔法があるから、大丈夫だ。」
帝国の魔法は変わっているんだよ、と笑いながら、俺の首すじを舐め。
「束縛の鎖。」
鎖に縛られているように、体が動かない。
声も出せない。
思考も制限されて、魔法も使えない。
俺から服を取り、キールも脱ぐ。
がっしりした大きな体。
筋肉もついていて。
彼のそこは、凶悪にそそりたつ。
いやだ。
いや。
「順番が変わったけど仕方ないね。君は今夜、俺の妃になるんだ。」
キールは俺の後ろの口を丁寧に開くと、凶器をあてがう。
い やっ
メキメキ音がするように、ズブズブと入っていく。
あぁっ。
「破瓜だよ。処女喪失おめでとう?」
何がめでたいもんか。
いたい。あつい。苦しい。
圧迫感。
「じゃあ、孕める体に変えてあげようね。」
キールが俺の下腹部に繋がったまま手をあて、何かぶつぶつ言っていうと、一瞬光り、体の内がうねるような違和感が走った。
「孕める体になったよ。これで安心して嫁げるだろう?」
体の上で腰を打ち付ける男。
「あ、うぅっ。あぁっ!」
勝手に揺さぶって、勝手に愉しんで。
俺の中に出し切って、満足したように俺の入口を撫でた。
俺は今度はこの男に囚われるのかと、涙が出て、意識が落ちた。
悪い狼に食べられてしまった。
「うちのかわいい息子に酷いことするわね。」
彼の母親がムクリと起き上がる。
「そう仰る割には、止めませんでしたね。」
「そうね、あなたは幸せにしてくれる人だから。」
精霊は、人間とはやはりどこか違うらしい。
「この国。精霊の加護で守られてきたのは本当でしょう?王が変わっても変化がなかったのは、国にあなた方がいたからですよね。」
「そうね。」
「あなた方が国を出て行けば、とたんに枯渇する。アルフォンスは気づいてませんが。」
「そうね。私はどうでもいいのよ。」
「あなた方を苦しめた王らに意趣返し、手伝いますよ。」
「あら嬉しいわ。」
明日が楽しみだ。
首を横に振る。
「そっか。じゃあ、3人分でいいかな?」
えっ。
お母様は今精霊に戻っているし、見えないはずなのに。
「ごめんね。俺は精霊が見えるんだよ。会話はできないけどね。」
キールは首をすくめた。
「精霊が見える人自体は、割といるのよね。」
お母様がポンッと人間の姿になる。
「だいたい、副産物で何か特殊な力を持つのだけど。」
「……そうですね。俺の場合は、その人の本性が視えることがあります。あなたたちは、いい人ですね。」
それって辛いことじゃないのかなと思うけど、キールはあっけらかんとしたもので、こんな話はもういいでしょうと、食事の手配を始めた。
食事が終わって。
風呂が終わって。
お母様は精霊の姿になって、ソファのクッションの上で爆睡している。
俺も寝ようっと。
キールがベッドにおいでおいでしていて、潜り込む。
ふふっ、仲のいい兄上がいたなら、こんな感じだったのかな。
ふいに、キールの腕が腰に回った。
「?」
「アリア王女。」
耳元で囁かれて、驚く。
「俺はキール=クリスタル。君の夫になる男だよ。」
えっ。ちょっと待て。考えが追いつかない。
手首を押さえられて、仰向けにされる。
「明日が婚約式だというのに、にげようなんて許せないな。絶対に逃がさないよ。」
なんで、クリスタル陛下が単独行動をしていたのかとは思うけど、そのことを知ってるということは本物。
キールが。
この男が俺の輿入れ先。
残酷王。
さっきまでのキールからは考えられないけど、確かに今のキールは。
…怖い。
「なんだよ、分かるだろ!? アリアは今の王に殺されないよう姫のふりをしていたけど、男なんだよ!男じゃ――――」
「別に男でもいいんだよ。」
「男が妃になれるわけないだろ!そろそろ女装も無理があるし、第一子が産めないっ!!」
「クリスタルの王族の魔法に、男でも産める体にする魔法があるから、大丈夫だ。」
帝国の魔法は変わっているんだよ、と笑いながら、俺の首すじを舐め。
「束縛の鎖。」
鎖に縛られているように、体が動かない。
声も出せない。
思考も制限されて、魔法も使えない。
俺から服を取り、キールも脱ぐ。
がっしりした大きな体。
筋肉もついていて。
彼のそこは、凶悪にそそりたつ。
いやだ。
いや。
「順番が変わったけど仕方ないね。君は今夜、俺の妃になるんだ。」
キールは俺の後ろの口を丁寧に開くと、凶器をあてがう。
い やっ
メキメキ音がするように、ズブズブと入っていく。
あぁっ。
「破瓜だよ。処女喪失おめでとう?」
何がめでたいもんか。
いたい。あつい。苦しい。
圧迫感。
「じゃあ、孕める体に変えてあげようね。」
キールが俺の下腹部に繋がったまま手をあて、何かぶつぶつ言っていうと、一瞬光り、体の内がうねるような違和感が走った。
「孕める体になったよ。これで安心して嫁げるだろう?」
体の上で腰を打ち付ける男。
「あ、うぅっ。あぁっ!」
勝手に揺さぶって、勝手に愉しんで。
俺の中に出し切って、満足したように俺の入口を撫でた。
俺は今度はこの男に囚われるのかと、涙が出て、意識が落ちた。
悪い狼に食べられてしまった。
「うちのかわいい息子に酷いことするわね。」
彼の母親がムクリと起き上がる。
「そう仰る割には、止めませんでしたね。」
「そうね、あなたは幸せにしてくれる人だから。」
精霊は、人間とはやはりどこか違うらしい。
「この国。精霊の加護で守られてきたのは本当でしょう?王が変わっても変化がなかったのは、国にあなた方がいたからですよね。」
「そうね。」
「あなた方が国を出て行けば、とたんに枯渇する。アルフォンスは気づいてませんが。」
「そうね。私はどうでもいいのよ。」
「あなた方を苦しめた王らに意趣返し、手伝いますよ。」
「あら嬉しいわ。」
明日が楽しみだ。
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