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人を呪わば穴二つ
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白銀の髪が光を反射して、光り輝く。
柔らかな髪はふわりと風に揺れて。
ふくふくとした手足はすらりと伸び、丸みを帯びた愛らしい顔立ちもすっきりとした美貌になった。
母親のマザーアースもそれは美しい神だった。
父親のルナもそれはもう、神々が溺愛した存在だった。
美貌の二人から生まれたアースは、母親似であるものの、父親が持つ神秘的な魅力も兼ね備えていた。
幼い頃、同じころ合いの幼神たちの中で、最も慕われ、将来はどんなに素晴らしくなるだろうと期待されていたアース。
何故か一人だけ成長せず、背丈も心も皆に取り残されていく。
可愛らしい幼神の姿のまま。
だから、その姿にしたならば。
この世で一番美しい神はボクのはずだったのに。
「あれ?マーキュリー縮んだ?」
「違うよ、アースが本来の姿になったんだ。アースはちゃんと大人になれていたんだよ。」
「あっ、やだ、くすぐったい。においをかいじゃいやだ。あ、お父様とお母様も見てるのにっ。」
目の前でボクの大好きなマーキュリーがアースとイチャイチャしてる…。
イチャイチャしてるぅうううう!!
「さあ。お前にはもう未来はない。残り少ない僅かな時を迎えるとよい。」
ガイア様の声が響く。
手が通り過ぎただけで、何かが抜けていった。
それはたぶん、神としての力。
「わずかな時?ボク、いっぱい反省します。それに、ボクのことお嫁さんにしたいって人がいるなら外に出てもいいんですよね?だってほら、ボクは可愛いし、人気者だし、それに罰なら受けたし。もう僕には何の力もないんだから。それだけで大した罰ですよね!ガイア様はみんなを子どもとして可愛がってくれてるんだから、ボクのことだってかわいいんでしょう?本当は罰したくないんですよね!」
「お前は何も分かっていない。まあ……本体から切り離されて過去の記憶がないのだからしょうがないか。」
――――――――――――え。
そう、言われた瞬間。
もうボクは鳥かごの牢の中にいた。
錆のような髪。薄汚れた体。しわくちゃの手。かつての美貌はどこにもない。
そうだ。
ボクは何回も何回も何回も人のモノを欲しがって。人を陥れようとして。傷つけようとして。それで何度もチャンスをもらったのに、何度も何度も繰り返して。
寿命と引き換えに『特別な分身』を何回も一人で産んで。
それが罪を犯さなければ、ボクは許されたのに。
新しい若い体で生きることが許されたのに!
「あぁああ―――――――――――――あぁ…。」
ボクが蹴り飛ばした醜い罪人。
それが自分だった。
この姿では、騙せる相手もいない。
もうガイア様に見捨てられて。
この鳥籠の中で醜い姿で、残り僅かな生を生きるしか、ないのだ。
皆に反面教師として後ろ指を刺され、見世物のように見られながら。
柔らかな髪はふわりと風に揺れて。
ふくふくとした手足はすらりと伸び、丸みを帯びた愛らしい顔立ちもすっきりとした美貌になった。
母親のマザーアースもそれは美しい神だった。
父親のルナもそれはもう、神々が溺愛した存在だった。
美貌の二人から生まれたアースは、母親似であるものの、父親が持つ神秘的な魅力も兼ね備えていた。
幼い頃、同じころ合いの幼神たちの中で、最も慕われ、将来はどんなに素晴らしくなるだろうと期待されていたアース。
何故か一人だけ成長せず、背丈も心も皆に取り残されていく。
可愛らしい幼神の姿のまま。
だから、その姿にしたならば。
この世で一番美しい神はボクのはずだったのに。
「あれ?マーキュリー縮んだ?」
「違うよ、アースが本来の姿になったんだ。アースはちゃんと大人になれていたんだよ。」
「あっ、やだ、くすぐったい。においをかいじゃいやだ。あ、お父様とお母様も見てるのにっ。」
目の前でボクの大好きなマーキュリーがアースとイチャイチャしてる…。
イチャイチャしてるぅうううう!!
「さあ。お前にはもう未来はない。残り少ない僅かな時を迎えるとよい。」
ガイア様の声が響く。
手が通り過ぎただけで、何かが抜けていった。
それはたぶん、神としての力。
「わずかな時?ボク、いっぱい反省します。それに、ボクのことお嫁さんにしたいって人がいるなら外に出てもいいんですよね?だってほら、ボクは可愛いし、人気者だし、それに罰なら受けたし。もう僕には何の力もないんだから。それだけで大した罰ですよね!ガイア様はみんなを子どもとして可愛がってくれてるんだから、ボクのことだってかわいいんでしょう?本当は罰したくないんですよね!」
「お前は何も分かっていない。まあ……本体から切り離されて過去の記憶がないのだからしょうがないか。」
――――――――――――え。
そう、言われた瞬間。
もうボクは鳥かごの牢の中にいた。
錆のような髪。薄汚れた体。しわくちゃの手。かつての美貌はどこにもない。
そうだ。
ボクは何回も何回も何回も人のモノを欲しがって。人を陥れようとして。傷つけようとして。それで何度もチャンスをもらったのに、何度も何度も繰り返して。
寿命と引き換えに『特別な分身』を何回も一人で産んで。
それが罪を犯さなければ、ボクは許されたのに。
新しい若い体で生きることが許されたのに!
「あぁああ―――――――――――――あぁ…。」
ボクが蹴り飛ばした醜い罪人。
それが自分だった。
この姿では、騙せる相手もいない。
もうガイア様に見捨てられて。
この鳥籠の中で醜い姿で、残り僅かな生を生きるしか、ないのだ。
皆に反面教師として後ろ指を刺され、見世物のように見られながら。
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