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聖女アクアは心は男の子

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聖女アクア。

黒髪に茶色の目で日に焼けた肌が健康的な少女。


だが、彼女の前世は少年である。


昔の名前は、金谷大翔。
枢木カナタくんのお友達だ。


カナタくんはピッチャーで彼がキャッチャー。
子どもを庇って車に轢かれそうになったカナタくんを助けようとして自分も一緒に轢かれた。

カナタくんは即死じゃなかったけど、彼を守ろうとした大翔くんは即死で。

結局二人とも死んじゃったんだけど。



今度は男と女どっちに生まれる?って聞いたら、彼は女の子を選んだんだよね。
なんでだろ。
本人は、女の子の体を見放題になるから!って言ってたけど。
絶対、あれは嘘だよね。



さて。アクアは前世の性格のまま、体は女の子でも心は少年のままだったらしい。

こざっぱりとなった体にとりあえずマークが執事の服の替えを貸したら(僕のを貸そうとしたんだけど止められた。なんでだ。)、ソファに座って胡坐をかいている。




「なんでかさー、生まれ育った町でみんなの怪我治したり病気治したりしてたわけ。時々依頼されて冒険者の治療したりさ。そしたら、周りの街からも依頼されるようになって、時々巡回してて、あれよあれよと有名になっちゃってさ、城に連れていかれたんだよね。金髪碧眼のザ・王子ってかんじのイケメンが俺に歯が浮くようなこと言うわけ。気持ち悪いから無視してたらそこがよかったみたいで気に入られちゃってさぁ、俺、ぜんっぜん望んでないのに王子様の婚約者だよ。国の聖女に祀り上げられてさ、でも俺、がんばったんだよ?それなのに突然現れた赤毛の女がさあ!」


赤毛でペリドットの瞳の女が現れておかしくなったらしい。

うーん、テンプレ。


「王子とか聖女の肩書が欲しかったらくれてやるっつーの!俺はどっちもいらんし!シュガータウンに帰してもらえたらそれでよかったのに…………。」


じわあと瞳が潤み、口がへの字に曲がる。


「稀代の悪女みたいに言われて追放されて、シュガータウンに帰れないし。おたずね者になってて………。」

「だからあんなに汚れて。苦労したね。」よしよし。


「カナタに会いたい。」


うん、君の名誉は回復してあげるから。




屋敷をしまって馬車で城を目指す。



だけどそこにいたのは、僕にとっても敵だった。



ああ、また掃除しなきゃ。
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