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プラムの絶望

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こんなはずじゃなかった。

たかが神の怒りを買ったくらいで、こんな人生になるなんて。

そもそも神が本当にいたなんて思ってなかった。


あんなに可愛く思えた女は、結婚した途端、あっという間に窶れて見すぼらしくなった。

男爵家は貴族の癖に家は小さいし使用人はいない。

どうして俺に専属の使用人がいない?

どうして護衛もいないんだ?

料理は品数も少ないし、最後にデザートが出てこないんだ。


それでもまぁ、性欲は溜まるもので、何度かベッドを共にしていると子どもができた。


ある日、久しぶりに身綺麗にした女が、昔のように愛嬌たっぷりにプレゼントを持って来た。
結婚指輪らしい。

純金製で宝石がちりばめられ、美しい装飾が施されていて、全く俺に似合いの品だ。


産まれた息子は俺の子らしく、魔力が高い。
そして、聖人になれるほどの強い聖魔法の加護持ちだった。



これはいい!


こんなに素晴らしい息子は、王族に相応しい。

兄だって、子どもを見れば溜飲を下げてくれるに違いない。

王族籍に戻れるかも。



その頃からなぜか体調が悪くなった。
男爵家は仕事が順調なのか、食事が少しマシになった。
女も綺麗な服を着るようになった。
使用人もまぁまぁ雇えるようになった。

この俺様が婿入りしたのだから、このくらいでなければ困る。


医師に見せるが、俺の不調は原因不明らしい。
女は甲斐甲斐しく俺の世話をする。
時折連れてくる息子はだんだん大きくなった。




俺は自分に与えられた部屋で、ずっとベッドで寝たままだ。

家族のだんらんに参加できない。

息子とかかわることもできなかった。

段々、あの女は俺を愛していないのだと気づいた。



俺は死ぬまでベッドの住人なのだろう。
そして、俺には何の生きがいも趣味も仕事もないのだと気づいた。


何のために生まれてきたのか、もう、分からない。


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