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閉ざされた国の栄華

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「それでは。ルシフル=サターン辺境伯ことアンリ=ブロン=フリー大公殿下。ジルコニア=サターン辺境伯夫人ことジルコニア=ブロン=フリー大公妃殿下。」


宙に浮いた飛空艇のドアが開き、スーッと動く階段に乗って二人が降りて来た。


降りて来た二人はプラチナブロンドに青と赤のオッドアイの容姿端麗な男と『ピンクブロンド』の美女…。



「……すすすばらしい技術力ですね…。」

「我が王国では魔物の撃退に成功、ほぼ恒久的に魔王の発生を防止する取り組みに成功しました。本日は、新しく国王になった我が弟のご挨拶と、我が国の技術を紹介したく、私たちが名代としてまいりました。」


「それでは、冒険者が失職したのでは?」


「冒険者らは市井を守る騎士として国で雇用しました。魔物がいなくなっても、人が悪意を持つ生き物である以上、新たな発生は止められません。ご心配ありがとうございます。抜かりはありませんよ?」






魔王の住む国。

最終ダンジョンに最も近い国。

そう疎まれた国は、素晴らしい魔法と技術のある国になった。



そして、ニッコリとほほ笑む大公殿下夫妻…。

美しい夫妻に美しい部下、皆が見とれる。



だが誰も知らない。

ほほほとほほ笑む夫人が心の中で『早く帰りてぇ!』と思っていることなど。




「それでは、時間ですので私たちは戻ります。妻も大事な躰です、無理はさせられませんからね。技術や最先端の魔法のことでご相談があれば、いつでも我が国へお訪ねください。あっ、そちらからは来られないのでしたね。それは残念。私たちはこつこつと文明を育てていくことにしますね。」

ルシフルはジルを抱きかかえると、飛空艇に転移した。




「ん、もう。」

「だってずっと馬鹿にして。くやしいだろ。研究してたんだ、だから。」


ジルのまだ膨らんでいないお腹に触れる。

ここに命がある。


飛空艇は揺れもなく、一瞬で領地に戻って来た。

「揺れない馬車も作ったんだ。ジルはいくら私が言ったところで、活発に行動するだろうからね。」


「ほんとにな。お前の頭の中はどうなってるんだろうな。なんですぐ作れちゃうのか。」


「学園ももう半年もないし、卒業してほしい。安全に学園生活を楽しんでもらいたい。」




今日も二人でくっついて眠る。
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