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臭い物には蓋をせずに早めの対処を心がけよう
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「うわぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「トロン殿下、あの女性は…?」
旦那様は何かを考え込んでいる。
「あの人は、アンリお兄様を陥れるために利用された女騎士でした。覚えていませんか?魔物討伐で位置取りを失敗して魔物に襲われた…。」
「あぁ、あの女性か。そうか、アレはドゥーブルの罠だった。彼女もドゥーブルの仲間だったのか。」
「好きだ、愛してる、私は生贄になって死にたくない。だから助けてくれ、君を妃に考えているんだ。確かそう言って彼女を唆したんです。後になって、口が軽くなったお兄様から聞きました。私が知ったところで物事を正すだけの意気地はないと思われていたんです。」
「そうか。」
「彼女は身寄りがない貴族令嬢の末端で、身を立てるため騎士になった女性です。騎士になるからには国のため民のために剣を振るうのだと志もそれなりにあった。でもだからこそ、男性に免疫がなくて…。お兄様にとっては簡単に落とせる相手だったでしょう。」
「今でも美人ですもの、若い頃はドレスで着飾らせればもっと美人だったでしょうね。故人を悪く言いたくはありませんが、私と婚約している間も彼女や彼女以外の女性とあの人は遊んでいましたわ。ええ、みんな体よくカラダを遊ばれただけ。あの人は王位に固執していたから、遊んで子ができれば堕胎させていたのです。公爵令嬢と婚約破棄すれば王位が手に入らなくなりますからね。若い頃から妊娠と堕胎を繰り返して、あの女性は子を産めぬ体になり、年増になったと捨てられたのです。」
後方に控えているお父様の背後から声がする。
カリナ様だ。
ひっでぇ…。
それじゃあ魔王になるくらい恨むよな。
「聖剣さん、旦那様。」
闇は深く、あたりを飲み込むようだ。
魔力の渦がすべてを吸い込むように勢いを増した。
僕の呼びかけに聖剣は光り、旦那様は頷く。
「今、助けてあげる!」
聖剣は光り輝き、闇を払う。
ああ、あたたかい。
なんて温かい光。
忘れていた気がする。
ああ、私の子どもたち。産んであげなくてごめんなさい。
光が私の周りを飛び回り、私のお腹の中へ溶けていく。
私、許してもらえるの?
……いいのかしら。
涙がこぼれる。
「トロン殿下、あの女性は…?」
旦那様は何かを考え込んでいる。
「あの人は、アンリお兄様を陥れるために利用された女騎士でした。覚えていませんか?魔物討伐で位置取りを失敗して魔物に襲われた…。」
「あぁ、あの女性か。そうか、アレはドゥーブルの罠だった。彼女もドゥーブルの仲間だったのか。」
「好きだ、愛してる、私は生贄になって死にたくない。だから助けてくれ、君を妃に考えているんだ。確かそう言って彼女を唆したんです。後になって、口が軽くなったお兄様から聞きました。私が知ったところで物事を正すだけの意気地はないと思われていたんです。」
「そうか。」
「彼女は身寄りがない貴族令嬢の末端で、身を立てるため騎士になった女性です。騎士になるからには国のため民のために剣を振るうのだと志もそれなりにあった。でもだからこそ、男性に免疫がなくて…。お兄様にとっては簡単に落とせる相手だったでしょう。」
「今でも美人ですもの、若い頃はドレスで着飾らせればもっと美人だったでしょうね。故人を悪く言いたくはありませんが、私と婚約している間も彼女や彼女以外の女性とあの人は遊んでいましたわ。ええ、みんな体よくカラダを遊ばれただけ。あの人は王位に固執していたから、遊んで子ができれば堕胎させていたのです。公爵令嬢と婚約破棄すれば王位が手に入らなくなりますからね。若い頃から妊娠と堕胎を繰り返して、あの女性は子を産めぬ体になり、年増になったと捨てられたのです。」
後方に控えているお父様の背後から声がする。
カリナ様だ。
ひっでぇ…。
それじゃあ魔王になるくらい恨むよな。
「聖剣さん、旦那様。」
闇は深く、あたりを飲み込むようだ。
魔力の渦がすべてを吸い込むように勢いを増した。
僕の呼びかけに聖剣は光り、旦那様は頷く。
「今、助けてあげる!」
聖剣は光り輝き、闇を払う。
ああ、あたたかい。
なんて温かい光。
忘れていた気がする。
ああ、私の子どもたち。産んであげなくてごめんなさい。
光が私の周りを飛び回り、私のお腹の中へ溶けていく。
私、許してもらえるの?
……いいのかしら。
涙がこぼれる。
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