貧乏伯爵の三男（勇者？）は潜伏魔王に嫁ぐ

閑話 何やってるんですかアンタ

「何やってるんですか？」

「カリナ様がトロン殿下にとられたのがショックだったんですか？」

「王太子じゃなくなったから狂ってしまわれたのですか？」


城の庭………城で働く従業員？たちがご飯をたべる社員食堂のテラス席がある庭のど真ん中にソレは突然現れて、皆どよめいた。
きっと明日には城中の噂になっているだろう。


だって黄色のドレス姿のドゥーブル殿下が、パンツを足首まで下げた姿でいたのだから。

しかも長いドレスは捲れて、あおむけの状態でそそり立つ陰部が丸出し。


王族の威厳なんてあったもんじゃない。


強姦でもされた？？


って疑われる状況。


側近たちも驚いて、ガンバリはその下半身を上着で隠してやり、キシリトールとビリーは枝で体をつついた。



「起きてください。部屋に行きましょう。」


「……ん～～～～！………ハッ！ジルコニア嬢！」




我が殿はきょろきょろとあたりを見て、わなわなと震えた。


王太子の側近なんて俺たちは光栄に思っていたけど、ドゥーブル殿下が国王になることはないし、むしろよくて一生城のすみっこで飼い殺しになることは、分かっている。


俺たち優秀だと思っていたけど、上には上がいて、全然使えない人間だった。

だからこうなったのも、当たり前。

殿下はただの殿下だけど、それでも変わらず自分たちだけは殿下のお側にいようって。

あまり褒められた人じゃないかもしれないけど、それって俺たちも同じだし。

実家からは見限られたけどね…。



でも…。



「くそっ、くそっ、くそっ、アンリ…。あれは『魔王』だったっ！お父様も騙されてるんだ…！『魔王』は駆除しないと……！ああ、ジルコニア、きっと彼女も騙されて…！助けないと！」


濁った眼でぶつぶつ呟くさまは恐ろしくて。


何故だろう、魔物と対峙しているときのような寒気がする。