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忍び込んだもう一人の雄嬢さま

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(ふふふ……警備が甘いな……。)

お茶会に忍び込んだ俺に誰も気付かないとは。

ジルコニア嬢は俺にこそふさわしい。
俺は父(陛下)の子ではなかった。
母も母方の親族も毒杯を賜った。
俺はもはや一人だ。

だが、王室スキャンダルを避けたいのか、俺は幸いにも王族のままではいられるらしい。


なんだ。
陛下の血筋じゃないのなら、そもそも俺は魔王のイレモノにならなかったんだ。

王子じゃなくなっただろうが、あの頃知っておきたかった。



「えーと、素晴らしいわね、ジルコニア様の舞!ねえ、あなたもそう思いますわよね?」

「ええ。本当に!」


本当にアンリには勿体ない。

あーくそ。結婚してるってことはもうヤってるのかな。
処女じゃないんだろうな。

でもまあ俺だって王族じゃないんだから、処女じゃなくても俺の嫁にはできるか。

むしろあいつの女を奪うのを想像すると興奮する。


お茶会に参加している女たちは、爵位もバラバラ。普通の貴族の令嬢だ。
互いに交流がないから、俺が忍び込めた。

ありふれた茶髪、ありふれた茶色の目。ありふれた顔立ち。

コンプレックスだった容姿が活かせる日がくるとは。


男にしては低い身長はヒールを履いても違和感なし!
筋肉もなくてひょろっとしてるからドレスも入った!

あははははっ!

剣の訓練もさぼっててよかったーーーー!あはは……。


俺を見て、どっかでみたけど誰だっけ?って顔をする令嬢は、名前を知らないなんて言えないから、さっきから適当に濁して、知り合いですよ、やだなー知ってますよーという取り繕い方をしている。

そのおかげで潜り込んでも怪しまれていないんだが。




「すみません、お花摘みに…。場所はどちらでしょうか?」

「私がご案内しましょう。」

「ジルコニア様に案内してもらいたいわっ。」

「いいよ、花摘みね。連れてってあげるよ。」


くくく、まんまと二人っきりになれた!

俺がドレス姿というのは不格好だが、このまま寝取ってやる!

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