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追い打ち
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「お前は王太子から外す。」
夜会の中心にはアンリとあの美しい娘が踊っているのに、誰にも聞こえない声で父親に言われて、頭をがつんと殴られたような気持ちになる。
「何故ですか!アンリを呼び戻すんですか!?そもそもアレは『魔王』なんだ、なんで『結婚』やこの夜会に来ることを許したのですか!」
「アンリをよく見なさい。瞳の色は青いし、肌の血色もいい。何より髪色が昔に戻っている。アンリは魔王を完全に浄化したのだ。もう魔王はこの世にいない。だから本当は、王族に復帰してもよかったし、王太子の座についてくれてもよかった。しかし、アンリはもう王位には未練はないらしい。辺境伯としてこのまま生きていくそうだ。」
「ばかな!……それじゃ、それじゃあ誰を!」
「トロンだ。」
「ばかな!」
「なんで馬鹿な、と思うのだ。トロンも王子。お前と同胎の王子だろう。それに、王太子教育を実際に受けたのも、これまで仕事をしてきたのも、本当はトロンだろう。」
「いやだぁっ!そうだ、こんなにコロコロ王太子を変えていたら不信感が生まれますよ!」
「人災を引き起こされるよりましだ!………それから、今日をもってカリナ嬢もトロンの婚約者とする。本人からも強い要望があったからちょうどよかった。目や手つきがいやらしくて生理的に無理、だそうだ。」
うそだ。
王太子の地位をアンリはいらなくて、トロンにとられる?
アンリの名声は元に戻り、トロンの名声もあがる。
俺は?
俺は兄弟におんぶにだっこで、無能で張りぼての王子…!!
「トロンより俺を可愛がっているんだ!お母さまがなんていうか!」
「お前の母親は捕えてある。」
は???なんで???????!!!
「あれだけ散財すれば国庫も傾く。アレは、手を出してはいけない国の予算にまで手を出していた。それだけでも罪に問えるが…。あまりにも私とお前は似ていない。調べてみたら、実の兄との子だったよ。トロンは正真正銘、私の子だった。しかし、あの女の血筋は洗い流さねばならないからな。マーガレットの養子にするつもりだ。」
………は??
どろり。
欲望が、恨みが、妬みが渦巻く。
それは何かを生み出すのに足りる負の感情。
夜会の中心にはアンリとあの美しい娘が踊っているのに、誰にも聞こえない声で父親に言われて、頭をがつんと殴られたような気持ちになる。
「何故ですか!アンリを呼び戻すんですか!?そもそもアレは『魔王』なんだ、なんで『結婚』やこの夜会に来ることを許したのですか!」
「アンリをよく見なさい。瞳の色は青いし、肌の血色もいい。何より髪色が昔に戻っている。アンリは魔王を完全に浄化したのだ。もう魔王はこの世にいない。だから本当は、王族に復帰してもよかったし、王太子の座についてくれてもよかった。しかし、アンリはもう王位には未練はないらしい。辺境伯としてこのまま生きていくそうだ。」
「ばかな!……それじゃ、それじゃあ誰を!」
「トロンだ。」
「ばかな!」
「なんで馬鹿な、と思うのだ。トロンも王子。お前と同胎の王子だろう。それに、王太子教育を実際に受けたのも、これまで仕事をしてきたのも、本当はトロンだろう。」
「いやだぁっ!そうだ、こんなにコロコロ王太子を変えていたら不信感が生まれますよ!」
「人災を引き起こされるよりましだ!………それから、今日をもってカリナ嬢もトロンの婚約者とする。本人からも強い要望があったからちょうどよかった。目や手つきがいやらしくて生理的に無理、だそうだ。」
うそだ。
王太子の地位をアンリはいらなくて、トロンにとられる?
アンリの名声は元に戻り、トロンの名声もあがる。
俺は?
俺は兄弟におんぶにだっこで、無能で張りぼての王子…!!
「トロンより俺を可愛がっているんだ!お母さまがなんていうか!」
「お前の母親は捕えてある。」
は???なんで???????!!!
「あれだけ散財すれば国庫も傾く。アレは、手を出してはいけない国の予算にまで手を出していた。それだけでも罪に問えるが…。あまりにも私とお前は似ていない。調べてみたら、実の兄との子だったよ。トロンは正真正銘、私の子だった。しかし、あの女の血筋は洗い流さねばならないからな。マーガレットの養子にするつもりだ。」
………は??
どろり。
欲望が、恨みが、妬みが渦巻く。
それは何かを生み出すのに足りる負の感情。
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