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王太子との確執

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「ふぁ~、よく寝たぜ~~~!」

『おはようございます、ジルコン。さぁ!魔王をやっちゃいましょう!』

広いキングサイズのベッドには、俺と、聖剣と、旦那の魔王。

添い寝はしたけど、なんにもしてない。


妻の務めはいつか果たしてやってもいいが、まずは惚れさせてもらおうか!というので…。


「聖剣さんよ、お前はほんとそればっかだなー。魔王のイレモノとはいえさ、元々は人間なんだからさぁ。制御できてるみてぇだし、魔王っていったってこいつはなんもしてねーじゃん?それなのにヤルって違くねぇ?……こいつが本当に魔王らしく行動しそうになった時でいーよ。」

『甘いですねー!』


「だけどさ、辺境伯領に冒険者ギルドってあるじゃん?魔物退治支援してるわけじゃん?魔王なのに矛盾してると思うしさ、どーも俺、腑に落ちないんだよね。」

『でもですね!』


すやすやと眠ってるルシフルは、気のせいか昨日より血色が良い気がする。
こうしてみても、普通の綺麗な男の人にしか見えない。

これが俺の旦那かー…。

戸籍が女な俺は男としか結婚できないわけで、本当の性別を知っても気にしないどころか子どもまでできちゃうのはこいつ相手だけなのだから、なるべくしてなったご縁なのかもしれんなぁ。


じっと見てると、瞳が開かれて見つめられた。

なんだよ、恥ずかしいな。



「我が妻は優しいな。私は嬉しいよ。」ますます惚れたといいながら、彼はベッドから起き上がった。

そして、ベッドサイドのベルを鳴らす。




「旦那様、お支度の準備をさせていただきます。」

恭しく入って来た老紳士は、家令らしい。背筋はピンとして年齢を感じさせないが、オールバックにした髪は白髪が混じったロマンスグレー。名前はセバスティアン。

彼の後ろから、侍従が3名、続いて入ってくる。
赤毛のレドモンド、レモン色の髪のレモネ、青味がかった黒髪のブルース。

どいつも整った顔立ちで、体幹もよく、程よく鍛えられた肉体をしているように見える。


「屋敷の者は全員、普通の人間だ。私が『魔王のイレモノ』となり、辺境伯としてこの封印の地に追放されたのをきっかけについてきてくれた忠臣たちなんだ。」

しんみりしてるけど、俺はそれどころじゃない。

皆俺が男だって分かってるみたいだけど、だからこそいたたまれない。


「奥様、お召し物はこちらのドレス………で構わないのでしょうか。」
レドモンドが丸っこい目を白黒させて躊躇してる。

そうだよね、迷うよね。
俺のためにドレス類を用意してくれてたんだろうけど、奥様は男だからね。
俺も性別を偽るつもり満々だったからなぁ。


「あ――――。一応、実家から男女共用な感じの服を持って来たからそれで…。」

とりあえずユニセックスなラインのパンツスタイルにしてもらう。


「ジル、こう見えても私は本当はこの国の第一王子なんだ。この国は、代々王子の一人が魔王のイレモノとなり、魔王を封じていく。先々代の王弟殿下がなくなったので次代を決めるときに、あの馬鹿太子が私を嵌めて


「ごめん、そんな重要な話は落ち着いてからでお願いします!」







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