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自称聖剣は本物です

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お相手の辺境伯は30代半ば…ということだが、詳しい年齢が分からない謎の人。

銀髪ストレートの長い髪に、ルビー色の瞳、白い肌のものすごく美しい男の人らしい。

そんなイケメンで辺境伯だったら、嫁くらい選り取り見取りだっただろうになぁ。



とりあえず俺は持ち物を整理する。

あからさまな男モノは持っていけないけど、護身用だって武器とかは持っていけるだろう。

あと、本。

うちは学校に行けない上に家庭教師も雇えないド貧乏だから、みんな本で勉強したんだよなー。
なんか初代の友達がめちゃくちゃ勉強できる人だったみたいで、その人がいっぱい役に立つ書物を残してくれた。
クイズみたいな数学も、物語のような歴史も大好きだ。

学校に行けてないからどれだけのモンか俺たち兄弟はよくわからないけど、たぶん、そこそこ学はある方なんじゃないかと思う。


あー。そうそう、忘れていけない潤滑油ね。

ヤる前に自分でこっそり処理しておかないとなぁ。

カラダを弄らせないように、俺がリードしなくちゃ……。
ちゃんとバレずにやれんのかな。



「さあ、自称聖剣。お前も連れてってやるから寝るか。明日は結婚式だからなー。ったく気が早いっつーの。」


ふぁぁと、ジルコンは眠りに落ちた。







………勇者なのに。

聖剣は呟く。

ブリッジ伯爵家の初代は、先代の勇者と聖女だ。その友人である拳聖と賢者が側近となってこの地を興した。

人の子に封印した魔王を見張るために。

何代か経って拳聖と賢者の血も混じり、父親はああみえても聖者だし、長男は聖者と賢者、次男は拳聖だが、こいつら自分たちが凄いことをちっとも分かってない。

他所から隔離されすぎて、普通の基準が分かってないんだ!

何代目かのアホが酔っぱらって私を湿地に投げ捨てるから、冷たい池の中で何年も何年も次代の勇者が生まれるのを待ちわびて…。

やっと勇者が拾ってくれたと思ったら、ちっとも魔王討伐に行かないし!!


だが…ここにきて運が向いてきた。


ププッ。封印されし魔王こそ、辺境伯!

しかも嫁入りに私を連れて行ってくれるだと!願ってもない!

ジルコンや、お前は尻の心配をしなくともよい。

尻など捧げてやらずともよい。

魔王の寝首をかき、再封印するのだ!!!
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