天涯孤独な天才科学者、憧れの異世界ゲートを開発して騎士団長に溺愛される。

最終話

「さぁ、よいこのみんなぁ。お勉強の時間だよ～。頑張ったら今日のおやつはホットケーキだからね！」

色々やりつくして、すっかりオーバーテクノロジーを普及させてしまったけれど、基本はエコなこの世界、うまく自然と共存している。

俺は、研究欲も落ち着いて、今では子ども向けにちょっとした絵本を作ったり、子どもたちを集めて勉強を教えていた。

やっぱり掛け算割り算が出来た方が良いと思うんだよね！



「はぁい！」

元気いっぱいに手をあげる子どもたち。

「あぁ～、鉛筆折れちゃったぁ。」

「りりたん、ぼくのかしてあげる！」

「ぼくもいいよ！」

青い髪のリリアはローゼスさん似の魔性。

「鉛筆が折れたなら、あそこにご自由にどうぞがある。」

レモネさん似の王子様は、クール。

「りりあ、予備もってくるべき。」

緑色の髪のグリーンさんそっくりのハーブくんは飄々としている。

「りりあのどこがいいのかわかんないなぁ～。俺は、シルヴァ様かな♡」

シルヴァ殿下……いや、陛下のプロマイドにキスをするグレン殿下の子。


僕が異世界の知識を教えてるから、みんな、こっちに留学しちゃった。

まあ、家は広いし城内で安全だし、部屋いっぱいだしいいけどね。







「あらまぁ、かわいい～。うちの子たちちゃんと授業を聞いてる！えらい！」

ローゼスは子どもを見ながら剣で撃ち合う。器用な。

確かに子どもはみんな可愛いが、うちのアーモンドがやっぱり一番可愛い。


「あ。ぱぱ～～！！！！」

こちらを見ていることに気が付いて、にぱっとした笑顔で手を振る。


とてとて、と走ってくる。

「あ！」

転びそうになったのを、すかさず抱き上げる。


「こら。気をつけなさい？」

「へへ。パパ、ありがとー」



「んもう、アーモンドったら。ありがと、カシュー。」





この世界でカシューに会えてよかった。

この世界でランに会えてよかった。



教科書で隠して、キスをする。



おませな子どもたちが囃し立てた。





俺は、孤独じゃない。

甘ったるい砂糖のように、溺愛されて、こそばゆいけど。


俺はとても幸せ。


「ぱぱ、ままもだっこする！」

「いいよ。」



「うわ！」

抱き上げられて、抱き着く。



この景色がずっと続きますように。





end