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俺の魔法
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「ぐぉぉおおおおおおおおおおおお!」
黄金色の竜が吠える。
「お前は私が倒す!」
巨大ロボットのようなゴーレムに乗ったカシューは、空を舞い、黄金竜に衝撃弾を撃ち込んでいった。
だが、さすが黄金。ダメージがないようだ。
「黄金は固いんだ。やっぱり黄金といえばアレ…。と、すればカシューさんに伝えないと。」
俺は無線を掴み、皆にお願いする。
「まずはあの黄金の鱗を溶かさなければどうしようもない。黄金といえば『王水』だ。お願い、金細工の工房から王水を貰って…。いや、俺が作る!だから、それを宮廷魔術師の皆さんであいつの頭に転移させてほしいんだ!かける時は気をつけて!周りに跳ねないようにね!その時はカシューさんはよけて!」
俺は俺。科学の力で…!
「近くの工房を使ってください!それほど量はなくていいんですよね!」
「ハイ!カシューさんが刃を立てられる場所さえあればいいので!」
(さすがだな。ランは…。いつも助けられてばかりだ。)
自嘲しつつ、カシューは空を舞った。
目の前の子虫がきになるらしく、黄金竜はカシューだけを追う。
<さぁできました!行きますよ。カシューさん避けてっ>
サッと避け、宮廷魔術師が王水を黄金竜にかける。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
シュウシュウ音を立て、肉がただれ、かかった場所の鱗が溶ける。
やった!
爛れた皮膚の奥からぎろりとした金色の目が嵐と合う。
誰が攻撃したのか、黄金竜は理解していた。
怒号とともに、口を開け、涎を垂らした巨大竜が、鋭い牙と爪を立てようと天幕に向かって突進する。
(まずい……!)
足がすくんで動かず、目の前に大きな影が現れた。
「ランたちは傷つけさせない…っ!」
「カシューさん……ッ!」
そうだよ。
あのアニメはいつも大体不幸なことが起きるんだ。
あんなのに乗ったまま攻撃されたら、中にいるカシューさんは??
注射は打ってはいるけど、大けがをしたら……!!!!!!
だめだ。
まだ、カシューさんの気持ちに応えきれていない。
まだ、俺をあげてない。
居なくなってほしくない。
だって。
カシューさんが、塚本君、なんでしょ?
ううん。
カシューさんはカシューさん。
年下で可愛いところもあるけど、俺を甘やかして大切にしてくれる人。
スローモーションのように。
それは一瞬で。
色んなことが頭の中にあふれて。
真っ白になって。
俺の魔力が、はじめて弾けた。
黄金色の竜が吠える。
「お前は私が倒す!」
巨大ロボットのようなゴーレムに乗ったカシューは、空を舞い、黄金竜に衝撃弾を撃ち込んでいった。
だが、さすが黄金。ダメージがないようだ。
「黄金は固いんだ。やっぱり黄金といえばアレ…。と、すればカシューさんに伝えないと。」
俺は無線を掴み、皆にお願いする。
「まずはあの黄金の鱗を溶かさなければどうしようもない。黄金といえば『王水』だ。お願い、金細工の工房から王水を貰って…。いや、俺が作る!だから、それを宮廷魔術師の皆さんであいつの頭に転移させてほしいんだ!かける時は気をつけて!周りに跳ねないようにね!その時はカシューさんはよけて!」
俺は俺。科学の力で…!
「近くの工房を使ってください!それほど量はなくていいんですよね!」
「ハイ!カシューさんが刃を立てられる場所さえあればいいので!」
(さすがだな。ランは…。いつも助けられてばかりだ。)
自嘲しつつ、カシューは空を舞った。
目の前の子虫がきになるらしく、黄金竜はカシューだけを追う。
<さぁできました!行きますよ。カシューさん避けてっ>
サッと避け、宮廷魔術師が王水を黄金竜にかける。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
シュウシュウ音を立て、肉がただれ、かかった場所の鱗が溶ける。
やった!
爛れた皮膚の奥からぎろりとした金色の目が嵐と合う。
誰が攻撃したのか、黄金竜は理解していた。
怒号とともに、口を開け、涎を垂らした巨大竜が、鋭い牙と爪を立てようと天幕に向かって突進する。
(まずい……!)
足がすくんで動かず、目の前に大きな影が現れた。
「ランたちは傷つけさせない…っ!」
「カシューさん……ッ!」
そうだよ。
あのアニメはいつも大体不幸なことが起きるんだ。
あんなのに乗ったまま攻撃されたら、中にいるカシューさんは??
注射は打ってはいるけど、大けがをしたら……!!!!!!
だめだ。
まだ、カシューさんの気持ちに応えきれていない。
まだ、俺をあげてない。
居なくなってほしくない。
だって。
カシューさんが、塚本君、なんでしょ?
ううん。
カシューさんはカシューさん。
年下で可愛いところもあるけど、俺を甘やかして大切にしてくれる人。
スローモーションのように。
それは一瞬で。
色んなことが頭の中にあふれて。
真っ白になって。
俺の魔力が、はじめて弾けた。
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